そろばんノート

生活保護

生活保護の申請

生活保護法・同法施行規則・行政不服審査法と厚生労働省の通知にもとづく説明です。

この内容は2026年11月2日時点のものです。

最終確認日 2026年11月2日

生活保護の申請は、困っている本人のほか、扶養義務者や同居の親族もできます(生活保護法第7条)。申請書を出すのが原則ですが、書けない特別な事情があればなくてもよく、必要な書類がそろっていなくても申請はできます。

福祉事務所は、申請から14日以内(特別な理由があれば30日まで)に、保護するかどうかを理由をつけて書面で通知します。決定に納得できないときは、3か月以内に都道府県知事へ審査請求ができます。

申請のしかた

申請の流れは次のとおりです。入院などで窓口に行けないときは、福祉事務所に相談してください。

  1. 住んでいる地域(住まいがない人は、いまいる場所)の福祉事務所の生活保護の窓口に行きます。福祉事務所のない町村では、町村役場でも申請を受け付けます。
  2. 「生活保護を申請します」と伝えます。福祉事務所は、申請したいという意思を示した人の申請が速やかに行われるよう、必要な援助をしなければならないとされています(生活保護法施行規則第1条)。
  3. 申請書に、氏名や住所、保護を受けたい理由、資産や収入の状況などを書いて出します。
  4. 家庭訪問や預貯金の照会などの調査を受け、結果の通知を待ちます。

持っていくとよいもの

厚生労働省のQ&Aは、申請の後の調査で、通帳の写しや給与明細など、収入や資産の状況が分かる資料を出してもらうことがあると説明しています。本人確認ができるもの、通帳、給与明細や年金の通知書、賃貸借契約書や家賃が分かるもの、保険の証書などがあれば、話が早く進みます。

これらは申請の条件ではありません。そろっていないときも申請はでき、後から出せるものを福祉事務所と相談できます(生活保護法第24条第1項・第2項のただし書)。

決定までの日数と通知

保護の決定は書面で通知され、決定の理由が書かれます(同法第24条第3項・第4項)。通知は申請から14日以内が原則で、扶養義務者の資産の調査に時間がかかるなどの特別な理由があるときは30日まで延ばせますが、その場合は延びた理由が書面に示されます。

申請から30日たっても通知がないときは、申請が却下されたものとみなして、次の審査請求に進むことができます(同条第7項)。急いで保護が必要な状況のときは、福祉事務所が申請を待たずに保護を始めることもあります(同法第25条)。

扶養照会の決まり

親族に援助できるかを尋ねる扶養照会は、扶養義務を果たすことが期待できると判断された親族にだけ行います。厚生労働省の事務連絡(令和3年2月26日)は、期待できない人の例として、生活保護を受けている人、施設に入所している人、長く入院している人、働いていない専業主婦・主夫、未成年者、おおむね70歳以上の人を挙げています。

借金を重ねている、相続で対立している、縁が切られているなど、関係が著しく悪い親族も同じ扱いです。一定期間(たとえば10年程度)音信不通なら、ほかの事情を問わず交流が断絶しているとみなしてよく、以前の「20年間音信不通」という例から短くなりました。

夫の暴力から逃れてきた母子や虐待を受けてきた人は、配偶者や親であっても照会を控えます。この場合に行う関係先への確認でも、本人の居場所や手がかりが相手に知られないよう、特に慎重に行うよう求めています。照会されたくない事情は、申請のときに理由とあわせて伝えてください。

扶養義務者への通知

生活保護法第24条第8項は、扶養義務を果たしていない扶養義務者に、保護を始める前に書面で通知することを定めています。ただし通知するのは、その扶養義務者から費用を徴収する見込みが高く、申請した人が配偶者からの暴力を受けておらず、通知が自立に重大な支障を及ぼすおそれがないと認めた場合に限られます(生活保護法施行規則第2条)。

断られたときや決定に納得できないとき(審査請求)

保護の申請の却下や、保護の変更・廃止の決定に納得できないときは、都道府県知事に審査請求ができます(生活保護法第64条)。期限は、決定を知った日の翌日から3か月以内で、決定の日の翌日から1年を過ぎるとできなくなります(行政不服審査法第18条)。

知事は原則として50日以内(第三者機関に諮問する場合は70日以内)に裁決し、期間内に裁決がないときは、棄却されたものとみなせます(生活保護法第65条)。市区町村の決定についての知事の裁決に不服があれば、裁決を知った日の翌日から1か月以内に厚生労働大臣へ再審査請求ができ、裁判で決定の取り消しを求めるには、先に審査請求の裁決を経ることが必要です(同法第66条・第69条、行政不服審査法第62条)。

決定をした行政庁は、審査請求ができることと、出し先、期間を本人に知らせなければならず、書面の決定ではふつう通知書に書かれています(行政不服審査法第82条)。法的な相談は、法テラス(日本司法支援センター)が収入などの条件を満たす人に無料の法律相談と弁護士費用の立替えを行っていて、生活保護を受けている間は立替金の返済が猶予されます。高齢や障害で判断の支援が必要な人については、生活保護法の審査請求も弁護士費用の立替えの対象にしています(法テラス白書)。

よくある質問

申請書を書けないときは?
申請書を作れない特別な事情があるときは、申請書がなくても申請できます(生活保護法第24条第1項ただし書)。福祉事務所には、申請したい人が速やかに申請できるよう援助する義務があります(施行規則第1条第2項)。
家族に知られずに申請できますか?
扶養照会は、援助が期待できる親族にしか行わない決まりです。関係が悪い、長く連絡を取っていない、暴力を受けたなどの事情があれば、申請のときに伝えてください。
住所がなくても申請できますか?
できます。いまいる場所を受け持つ福祉事務所が申請を受け付けます。

出典と前提

最終確認日 2026年11月2日。このページの金額は、厚生労働省の告示(保護の基準)などから計算した国の基準による目安です。生活保護を受けられるかどうかと実際の金額は、お住まいの地域の福祉事務所が世帯の状況を調べて決めます。住宅扶助の限度額は、都道府県や市が公表している案内で確かめられた額だけを使っています。