生活保護を申請するときの預貯金は、原則として生活費に充てる資産として扱われますが、保護が始まる月の金額を決めるときは、手元のお金のうち最低生活費の半分までは差し引かれません。東京23区で家賃が上限以上の68歳の一人暮らしなら、最低生活費130,580円の半分の65,290円がその目安です。
受けている間に保護費のやりくりで貯めたお金は、使い道が保護の趣旨に合っていれば持ち続けられます。
申請のときに持っていてよい額
申請のときに預金や現金があっても、申請はできます。福祉事務所は、そのお金で当面の生活ができるかを含めて、保護が必要かどうかを判断します。
保護が必要と判断された世帯の初めの月は、家計のやりくりに必要な繰越金として、最低生活費(医療扶助と介護扶助を除く)の5割までの手持金は収入として数えない扱いです(課長通知の問 第10の10-2)。母親と中学生・小学生の3人世帯(東京23区、家賃は上限以上)なら、最低生活費281,710円の半分の140,855円までです。
この扱いは初めの月の金額を決めるときの配慮で、受けられるかどうかの判断や、資産の調べ方を変えるものではないとされています。
受けている間の貯金
保護費のやりくりで生じた預貯金は、保護が始まる前から持っていたものではないことと、収入をすべて申告したうえで貯めたものであることが確かめられ、使い道が生活保護の趣旨に反しないと認められれば、持ち続けることができます(課長通知の問 第3の18)。使い道が趣旨に合わない場合は、最低生活のために活用する資産とされ、収入として扱われたり保護が停止・廃止されたりすることがあるため、まとまった額を貯めるときは使い道を担当のケースワーカーに伝えておくと安心です。
子どもの進学のための貯金
高校生などがいる世帯で、卒業後の専修学校・各種学校・大学の入学料などに充てるために保護費のやりくりで貯めることは、次の条件をすべて満たせば認められます(課長通知の問 第3の18-2)。
就労による自立の希望がはっきりしていて自立に特に役立つこと、就労に役立つ資格を取れる学校であること、入学料など入学前に必要な費用に充てること、貯める額と使い道が具体的で、原則として貯め始める前に福祉事務所の承認を受けていることです。
生命保険と学資保険
申請のときに入っている保険は、解約返戻金を生活費に充てるのが原則です。返戻金が少なく、保険料がその地域の一般の世帯とつり合う額なら、解約しないで保護を受けられる場合があり、後で保険金や返戻金を受け取ったときに、保護を受けた額の範囲で返還することが条件です(課長通知の問 第3の11)。
学資保険は、同じ世帯の18歳以下の子のための保険で、使い道が子の就学の費用であり、保護が始まった時点の解約返戻金が1世帯500,000円以下なら、解約しないで続けられます(課長通知の問 第3の19)。満期保険金を受け取ったときは、始まった時点の返戻金の分は返還の対象ですが、就学の費用に充てる範囲で返還しなくてよい扱いがあります。
葬儀の費用
生活保護を受けていた人が亡くなり、葬儀をする扶養義務者がいないときなどは、葬儀をする人に葬祭扶助が出ます。対象は検案、遺体の運搬、火葬または埋葬、納骨などで、葬儀をする人が福祉事務所に申請します(生活保護法第18条)。
葬儀に備えて保護費から少しずつ貯めることも、使い道が趣旨に反しないかどうかの判断になります。貯める前に担当のケースワーカーに相談しておくと、後で扱いがはっきりします。
保護が止まったときと終わったとき
保護が停止されている間は、それまでに認められていた貯金を持ち続けられます。保護が廃止された後は、貯金を何に使うかは本人の自由です。ただし、もう一度申請するときは、廃止の前に認められていた貯金も、資産として改めて扱われます(課長通知の問 第3の18-3)。
受けている間は、現金や預金などの資産の状況を少なくとも12か月ごとに申告することになっています(課長通知の問 第3の13)。
よくある質問
- 貯金がいくらまでなら生活保護を申請できますか?
- 申請は、貯金の額にかかわらずできます。福祉事務所が、貯金を生活費に充てても最低生活費に足りないかどうかを調べて判断します。
- 受けている間にへそくりを貯めてもよいですか?
- 保護費のやりくりで貯めたお金は、使い道が保護の趣旨に合えば持ち続けられます。収入を申告していないお金で貯めたものは、この扱いの対象になりません。
- 子どもの名義の預金はどうなりますか?
- 保護は世帯を単位として要否と程度が決まるため(生活保護法第10条)、子どもの名義の預金も世帯の状況として調べられます。子どもの将来のための預金があるときは、申請のときに使い道とあわせて伝えてください。
出典と前提
最終確認日 2026年11月2日。このページの金額は、厚生労働省の告示(保護の基準)などから計算した国の基準による目安です。生活保護を受けられるかどうかと実際の金額は、お住まいの地域の福祉事務所が世帯の状況を調べて決めます。住宅扶助の限度額は、都道府県や市が公表している案内で確かめられた額だけを使っています。