そろばんノート

相続の手続きと期限

教育資金と結婚・子育て資金の一括贈与

まとめて渡す特例と、必要なときに渡す都度贈与を分けて説明します。

教育資金の一括贈与は、30歳未満の子や孫が、父母や祖父母から教育資金に充てる金銭を信託銀行などの口座にまとめて受けたとき、1,500万円まで贈与税を非課税にする特例でした。塾や習い事など学校等以外への支払いは、そのうち500万円までです(国税庁 No.4510)。この特例は2026年(令和8年)3月31日までの拠出で終了しており、4月1日以後に新しく契約したり追加で拠出したりすることはできません。それまでに拠出した分は、契約が終わるまで特例の扱いが続きます。

結婚・子育て資金の一括贈与は、18歳以上50歳未満の子や孫が受ける結婚や出産、育児の資金について、1,000万円まで非課税にする特例です。結婚に関する支払いはそのうち300万円までです(国税庁 No.4511)。結婚・子育て資金の一括贈与は、2027年(令和9年)3月31日までに拠出するものが対象です(2026年10月時点)。

お金の流れと払出しの手続き

どちらの特例も、贈与者と受贈者が金融機関と管理契約を結び、専用の口座に資金を入れる形をとります。受贈者は、金融機関を通じて非課税申告書を税務署に提出します。口座からお金を引き出すたびに、入学金や授業料、挙式費用などの領収書を金融機関に出し、使い道を確認してもらいます。

教育資金の特例を使えるのは、前年の合計所得金額が1,000万円以下の受贈者です。結婚・子育て資金の特例にも同じ所得の条件があります。領収書を出さずに引き出した分や、対象外の支払いに使った分は、非課税の枠を使ったことにはなりません。

教育資金の使い残しの扱い

受贈者が30歳になると契約は終わり、使い残した残額にその年の贈与税がかかります。30歳の時点で学校等に在学している場合などは、最長で40歳まで契約が続きます。

2023年4月1日以後に結んだ契約では、使い残しに課される贈与税の計算に一般税率を使います。父母や祖父母からの贈与であっても、18歳以上の子や孫に使える特例税率は使えません。例えば残額が500万円なら、(500万円−110万円)×20%−25万円で53万円です。

贈与者が先に亡くなったとき

契約の途中で贈与者が亡くなると、その時点の残額は、受贈者が相続や遺贈で取得したものとみなされ、相続税の計算に入ります。受贈者が23歳未満である場合や学校等に在学している場合などは対象外ですが、相続税の課税価格の合計が5億円を超えるときはこの除外がありません。

残額を取得したとみなされる受贈者が孫であれば、その残額に対応する相続税は2割加算の対象になります(代襲相続人の孫を除く)。結婚・子育て資金の場合は、贈与者が亡くなった時点の残額が年齢などにかかわらず相続税の対象になり、孫であれば同じく2割加算されます。

結婚・子育て資金の対象と終了

対象となる支払いは、挙式や披露宴の費用、新居の家賃や引越し費用などの結婚関係と、不妊治療や出産費用、子の医療費、保育料などの子育て関係です。結婚関係は合計300万円までで、残る枠は子育て関係に使います。

受贈者が50歳になると契約が終わり、残額に贈与税がかかります。この計算でも一般税率が使われます。受贈者が契約途中で亡くなった場合は、残額に贈与税はかかりません。

都度贈与との違い

扶養義務者である父母や祖父母が、生活費や教育費をその都度直接支払ったり渡したりする場合は、通常必要と認められる範囲であれば、もともと贈与税がかかりません(国税庁 No.4405)。授業料の請求が来るたびに祖父母が学校に振り込む形であれば、金額の上限も金融機関の契約も要りません。

一方で、数年分の学費をまとめて受け取って預金しておいたり、株式や不動産の購入に回したりした分は、都度贈与には当たりません。一括贈与の特例は、まとめて先に渡したいときにこの点を補うための制度で、口座の管理や領収書の提出という手間と引き換えになっています。

よくある質問

留学費用や大学の寮費も教育資金に入りますか。
外国の学校の授業料や入学金は、学校等への支払いとして対象になります。学校が運営する寮の費用や、学校が指定する教科書代なども含まれます。対象かどうかの線引きは国税庁の質疑応答や文部科学省の案内で示されています。
祖父母2人から教育資金を受けると3,000万円まで非課税ですか。
なりません。1,500万円は受贈者1人あたりの上限で、祖父と祖母の両方から受けた分の合計で判定します。孫が3人いれば、それぞれが1,500万円までの枠を持ちます。
都度贈与の範囲を超えるのはどんな場合ですか。
生活費や教育費として通常必要な額を超える場合や、渡したお金が実際には貯金や投資に回っている場合です。仕送りでも、生活に使わず預金が増え続けていれば、その部分は贈与として110万円の基礎控除などで判定されます。

このページは、法律と公的機関の案内にもとづく一般的な説明と計算の目安です。あなたの場合にどうするかの判断は、司法書士・税理士・弁護士、または法務局・税務署・家庭裁判所の相談窓口にご確認ください(司法書士法、税理士法、弁護士法72条)。

出典

最終確認日 2026年10月15日。法律の条文は e-Gov 法令検索、手続きは各機関のページで確かめています。