直系尊属(父母・祖父母など)から、自分が住む家の新築、取得、増改築のための金銭を受けたときは、一定額まで贈与税が非課税になります。上限は、省エネ・耐震などの基準を満たす省エネ等住宅で1,000万円、それ以外の住宅で500万円です(国税庁 No.4508)。対象は2026年(令和8年)12月31日までの贈与が対象です(2026年10月時点の法令)です。
この非課税は暦年課税の基礎控除110万円と併せて使えます。省エネ等住宅の資金を同じ年に1,110万円受けた場合、1,000万円が非課税、残る110万円が基礎控除の範囲となり、贈与税は0円です。ただし非課税を使うには、贈与税がかからなくても期限内の申告が必要です。
受け取る人の要件
贈与を受ける人は、贈与者の子や孫などの直系卑属で、贈与を受けた年の1月1日に18歳以上であることが要件です。子の配偶者は直系卑属ではないため、義理の親からの資金はこの非課税の対象になりません。
受贈者のその年の合計所得金額は2,000万円以下でなければなりません。床面積が40㎡以上50㎡未満の住宅を取得する場合は、所得の上限が1,000万円以下に下がります。給与所得者なら、年収から給与所得控除を引いた後の金額で判定します。
住宅の要件と期限
取得する住宅は、登記簿上の床面積が50㎡以上240㎡以下で、その半分以上を自分の居住用に使うものです。増改築の場合は、工事費用が100万円以上であることなどの条件が加わります。土地だけを先に買う資金は、住宅の新築に先立つ場合に限り対象に含まれます。
原則として、贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅の新築や取得を済ませ、その日までに住み始めていることが求められます。同日までに住めない場合でも、遅滞なく住むことが確実と見込まれれば適用を受けられ、翌年12月31日までに実際に住んでいなければ修正申告をします。
省エネ等住宅になる条件
1,000万円の枠が使える省エネ等住宅は、一定の断熱性能や一次エネルギー消費量の基準、耐震等級、免震建築物、高齢者等への配慮の等級のいずれかを満たす住宅です。新築か中古か、建てた時期によって求められる等級が異なります。
基準を満たすことは、住宅性能証明書や建設住宅性能評価書の写しなどで示し、贈与税の申告書に添付します。証明書がそろわない住宅は500万円の枠での判定になります。
申告の手順と添付書類
申告期間は贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日で、受贈者の住所地の税務署に出します(国税庁 No.4429)。申告書に非課税の特例を使う旨を書き、受贈者の戸籍謄本、住宅の登記事項証明書、売買契約書や工事請負契約書の写しなどを添えます。
期限を過ぎてから申告しても、この非課税は使えません。非課税にならない場合、例えば暦年課税の特例税率で1,000万円を受けたなら、(1,000万円−110万円)×30%−90万円で177万円の贈与税になります。期限内の申告書の提出そのものが要件になっている点が、この特例の特徴です。
相続のときの扱い
非課税の適用を受けた金額は、贈与者が亡くなったときに相続財産へ加算されません。相続開始前7年以内の贈与であっても、非課税とされた部分は持ち戻しの対象外です。
非課税枠を超えた部分は通常の贈与として扱われ、暦年課税なら加算期間内の分が相続財産に戻されます。相続時精算課税と組み合わせることもでき、その場合は非課税枠を超えた部分が2,500万円の特別控除の計算に回ります。加算の仕組みは生前贈与と相続税で扱っています。
よくある質問
- 父と母の両方から受けると枠は2倍になりますか。
- なりません。非課税の上限は受贈者1人あたりの金額で、父からと母からの合計で1,000万円(または500万円)までです。一方で、受贈者が兄弟2人であれば、それぞれが自分の枠を使えます。
- 夫婦で共有名義の家を買うとき、妻の親からの資金は誰の枠ですか。
- 資金を受け取るのは妻なので、妻の枠で判定します。妻の親から夫が受け取った資金は直系尊属からの贈与ではないため、この非課税は使えません。資金の出どころと持分の割合を合わせておく必要があります。
- 住宅ローンの返済に充てるお金も対象ですか。
- 対象外です。この非課税は住宅の新築、取得、増改築の対価に充てる資金が対象で、取得後に残ったローンを返すための資金は含まれません。その場合は通常の贈与として110万円の基礎控除などで判定します。
出典
最終確認日 2026年10月15日。法律の条文は e-Gov 法令検索、手続きは各機関のページで確かめています。