そろばんノート

相続の手続きと期限

相続税の基礎控除と申告の要否

基礎控除の計算と、申告が要るかどうかの線引き。

相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です(相続税法15条)。法定相続人が配偶者と子2人の3人なら、3,000万円+600万円×3で4,800万円になります。遺産の課税価格の合計がこの額以下であれば、相続税はかからず、申告も原則として要りません。

基礎控除を超えるときは、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に申告と納付をします(相続税法27条)。税額の計算は、法定相続分で分けたと仮定して税率を当てはめる独特の方法なので、相続税シミュレーターで金額を入れて確かめられます。

法定相続人の数え方

基礎控除の「法定相続人の数」は、相続放棄がなかったものとして数えます。子2人のうち1人が放棄しても、人数は2人のままです。放棄によって第2順位の父母に権利が移っても、基礎控除の計算では元の子の人数を使います。

養子は、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで数に入れます。特別養子や、配偶者の実子を養子にした場合などは実子として扱われます。代襲相続人の孫は、亡くなった親の代わりに1人として数えます。

基礎控除額の早見表

法定相続人の数基礎控除額
1人36,000,000円
2人42,000,000円
3人48,000,000円
4人54,000,000円
5人60,000,000円
6人66,000,000円

基礎控除額の計算例

相続人が子1人だけなら3,600万円、配偶者と子1人なら4,200万円、配偶者と子3人なら5,400万円です。相続人が配偶者と兄弟姉妹2人であれば、3人として4,800万円になります。

例えば母が2027年2月に亡くなり、相続人が長男・長女・次男の3人、遺産が自宅の評価額2,500万円と預貯金3,500万円の合計6,000万円だったとします。基礎控除4,800万円を1,200万円上回るため、相続税の申告が必要です。税額は相続税シミュレーターで、遺産額と相続人の構成を入れると計算できます。

課税価格に入るもの・引けるもの

比べる対象は、遺産の総額から借金や葬式費用を差し引き、相続開始前の一定期間の贈与を加えた課税価格の合計です。土地は路線価などで評価し、上場株式は相続開始時の価格などで評価します(国税庁の相続税の計算)。

受取人が相続人である死亡保険金は、500万円×法定相続人の数までが非課税です。法定相続人が3人なら1,500万円までの保険金は課税価格に入りません。死亡退職金にも同じ額の非課税枠があります。

配偶者の税額軽減

配偶者が取得した財産は、1億6,000万円か配偶者の法定相続分相当額のどちらか多い額までなら、相続税がかかりません(相続税法19条の2、国税庁の配偶者の税額の軽減)。子と一緒に相続する配偶者の法定相続分は2分の1なので、遺産が3億円なら1億5,000万円ではなく1億6,000万円までが軽減の対象です。

この軽減は、申告期限までに遺産分割が済み、相続税の申告書を出すことが要件です。期限までに分割がまとまらないときは、申告書に分割見込書を添えておくと、原則として3年以内に分割した場合に軽減を受けられます。

税額がゼロでも申告が要る場合

小規模宅地等の特例は、亡くなった人が住んでいた宅地を配偶者や同居の親族が相続した場合などに、330㎡まで評価額を80%減らす仕組みです。この特例や配偶者の税額軽減を使って税額がゼロになっても、基礎控除を超えている限り申告書の提出が必要で、出さないと特例自体が使えません。

申告先は、被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署です。戸籍の束の代わりに法定相続情報一覧図の写しを添付できます。期限が土日祝に当たるときは翌開庁日が期限になり(国税通則法10条2項)、日付は相続の期限一覧で確認できます。

よくある質問

基礎控除以下なら、税務署から何も来ませんか。
税務署から「相続税の申告要否についてのお尋ね」などの書類が届くことがあります。基礎控除以下であれば申告は不要ですが、書類が届いた場合は財産の内訳を記入して返送する形になります。
遺産が基礎控除を少し超えるだけでも申告しますか。
超えていれば申告が必要です。基礎控除を1円でも超えると課税価格が残るため、10か月以内に申告と納付をします。特例を使って税額が下がるかどうかは、申告書の中で計算します。
生前贈与は基礎控除の判定に入りますか。
相続や遺贈で財産を受け取った人が、相続開始前の一定期間に受けた贈与は課税価格に加えます。2024年1月1日以後の贈与からは、この期間が3年から段階的に7年へ延びています。相続時精算課税を選んだ贈与も加算の対象です。

このページは、法律と公的機関の案内にもとづく一般的な説明と計算の目安です。あなたの場合にどうするかの判断は、司法書士・税理士・弁護士、または法務局・税務署・家庭裁判所の相談窓口にご確認ください(司法書士法、税理士法、弁護士法72条)。

出典

最終確認日 2026年10月15日。法律の条文は e-Gov 法令検索、手続きは各機関のページで確かめています。