準確定申告は、亡くなった人がその年の1月1日から死亡日までに得た所得について、相続人が代わりに行う所得税の申告です。期限は、相続人が相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です(所得税法125条)。前年分の確定申告を済ませずに1月1日から3月15日までの間に亡くなった場合は、前年分も同じ4か月の期限で申告します(同法124条)。
申告が必要かどうかは、生きていれば確定申告が必要だったかで判断します。事業所得や不動産所得があった人、給与の年末調整を受けていない人などが当てはまります。申告先は、亡くなった人の死亡当時の納税地を所轄する税務署です(国税庁の案内)。
申告が必要な人と不要な人
個人事業を営んでいた人、アパートや駐車場の賃料収入があった人、給与の収入が2,000万円を超えていた人などは、準確定申告の対象になります。年の途中で亡くなった給与所得者は年末調整を受けていないため、源泉徴収された税金を精算するために申告することがあります。
年金を受け取っていた人には、確定申告不要制度があります。公的年金等の収入金額が400万円以下で、しかも公的年金等以外の所得が20万円以下であれば、確定申告をしなくてもよいとされています。この条件を満たす人は、準確定申告も原則として要りません。ただし還付を受けたいときは申告できます。
期限の数え方と例
4か月は、相続人が死亡を知った日の翌日から数えます。父が2027年6月3日に亡くなり、同居していた長男がその日に知った場合、期限は2027年10月3日です。この日が日曜日なので、国税通則法10条2項により翌日の10月4日が期限になります。
期限を過ぎて納める税額があると、無申告加算税や延滞税がかかることがあります。還付を受けるための申告であれば、期限後でも5年以内なら提出できます。
付表と相続人が複数のとき
準確定申告書には、「死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」を添付します。付表には、各相続人の氏名や住所、続柄、法定相続分または遺言で決まった相続分、納める税額や受け取る還付金の割り振りを書きます。
相続人が2人以上いるときは、全員が連署して1通の申告書を出すのが原則です。他の相続人の氏名を付記して各自が別々に出すこともでき、その場合は出した人が他の相続人に申告の内容を通知します。相続放棄をした人は相続人ではないため、付表に載せる必要はありません。
医療費控除・社会保険料控除の扱い
医療費控除の対象になるのは、亡くなった人が死亡日までに支払った医療費です。入院費の請求が死亡後に届き、相続人が支払った分は、準確定申告の医療費控除には入りません。その分は相続税の計算で債務として差し引く対象になります。
社会保険料、生命保険料、地震保険料の控除も、死亡日までに支払った額で計算します。配偶者控除や扶養控除に当たるかどうかは、年末ではなく死亡日の現況で判断します。
還付になるときと相続税との関係
給与や年金から源泉徴収された税金が、実際の税額より多ければ還付になります。年の前半に亡くなった人は、その年の所得が少なく源泉徴収が多めになりやすいため、還付になる例がよくあります。
準確定申告で納めた所得税は、相続税の計算で債務として差し引けます。反対に、還付された所得税は相続財産に含めます。相続税の申告が必要かどうかは相続税の基礎控除で確認できます。
よくある質問
- 準確定申告で住民税の手続きは要りますか。
- 住民税はその年の1月1日に住所があった市区町村が課税します。年の途中で亡くなった人のその年の所得には翌年度の住民税はかかりません。死亡した年度の住民税で未納のものは、相続人が納めます。
- 消費税の申告が必要な場合もありますか。
- 亡くなった人が消費税の課税事業者だった場合は、所得税と同じく相続の開始を知った日の翌日から4か月以内に、消費税の準確定申告をします。
- e-Taxで準確定申告はできますか。
- できます。相続人が自分のマイナンバーカードなどで手続きし、付表に当たる内容も入力します。相続人が複数で連署するときの扱いは、国税庁の案内に沿って入力します。
出典
最終確認日 2026年10月15日。法律の条文は e-Gov 法令検索、手続きは各機関のページで確かめています。