原状回復の負担割合 計算ツール
退去のときに請求された原状回復の費用が妥当かを、国土交通省のガイドラインの考え方で確かめるツールです。部位ごとの耐用年数と住んだ年数から、借主が負担する額の目安を理由つきで出します。
この内容は2026年10月23日時点のものです。
最終確認日 2026年10月23日
入居と退去の年月、修理の見積額、傷や汚れの原因を部位ごとに入れると、国土交通省のガイドラインの考え方で借主が負担する額の目安と、その理由を1行ずつ出します。敷金の額を入れれば、差し引いたあとに返ってくる額の目安もわかります。
| 部位 | 見積額(円) | 原因 | 入居時 | 耐用年数 |
|---|
入居時の欄は、入居の直前に張り替えた・交換したものなら「新品」のまま、そうでなければチェックを外して入居時にたっていた年数を入れます。耐用年数はガイドラインの年数が入っていて、書き換えられます。
| 部位 | 見積額 | 借主負担の目安 | 貸主負担 | 理由 |
|---|
| 見積額の合計 | 0円 |
|---|---|
| 借主負担の目安 | 0円 |
| 貸主負担 | 0円 |
敷金の額を入れると、返還の目安を表示します
入力した年月や金額はこのページの中だけで計算し、どこにも送信しません。
計算の前提
借主が負担するのは、借主の故意や過失、注意を怠ったこと、通常の使い方を超える使い方でできた損耗を元に戻す費用です。普通に暮らしてできたすり減りや、年月がたって古くなった分は、もともと家賃に含まれているという考え方で、貸主の負担になります(民法第621条、e-Gov 民法)。この条文と敷金の第622条の2は、2020年4月1日に施行された民法の改正で加わりました(法務省)。
借主の負担になる場合でも、ガイドラインは全額ではなく、部位の経過年数で減らすとしています。耐用年数を過ぎると価値は1円まで下がるとして、新品から耐用年数までを直線で下げた割合を見積額に掛けます(ガイドライン 第1章 12ページ、図3)。入居したときにすでに使われていた設備は、その年数の分だけ線を下にずらして考えます(同13ページ、図4)。
ガイドラインには、何か月目かの端数をどう扱うかは書かれていません。このツールは入居年月と退去年月の差を月数のまま使い、年に切り上げたり切り捨てたりはしません。円未満は切り捨てています。
部位ごとの考え方
下の表は、ガイドラインの別表2と主な設備の耐用年数をまとめたものです(ガイドライン 第1章 別表2)。建物の耐用年数は、鉄筋コンクリート造の住宅用が47年、木造の住宅用が22年などで、ガイドラインの参考資料に載っている省令の表によります(参考資料 資料8)。
畳表、襖紙、障子紙は消耗品として、フローリングの部分的な補修は張り替えても全体の価値が上がらないとして、年数を考えずに借主が負担する扱いです。一方で、フローリング全体を張り替えた場合は建物の耐用年数で減らします。クロスは、傷のある面を含む一面分までの張替えを借主の負担としてもやむをえないとされ、部屋全体の張替えまでは求められません(ガイドライン Q&A Q7)。
| 部位 | 経過年数の考え方 | 借主が負担する範囲の目安 |
|---|---|---|
| 壁・天井のクロス | 6年 | ㎡単位が望ましく、毀損箇所を含む一面分までは借主負担もやむをえない |
| カーペット | 6年 | 毀損が複数箇所なら居室全体 |
| クッションフロア | 6年 | 毀損が複数箇所なら居室全体 |
| 畳床 | 6年 | 原則1枚単位 |
| 畳表 | 考えない | 原則1枚単位 |
| 襖紙・障子紙 | 考えない | 1枚単位 |
| 襖・障子の建具部分、柱 | 考えない | 襖は1枚、柱は1本単位 |
| フローリング(部分補修) | 考えない | 原則㎡単位 |
| フローリング(全体の張替え) | 建物の耐用年数 | 全体にわたる毀損で全体を張り替えた場合 |
| エアコン・ストーブなどの冷暖房機器 | 6年 | 補修部分、交換相当費用 |
| 備え付けの冷蔵庫・ガスレンジ | 6年 | 補修部分、交換相当費用 |
| インターホン | 6年 | 補修部分、交換相当費用 |
| 流し台 | 5年 | 補修部分、交換相当費用 |
| 備え付けの家具(金属製以外) | 8年 | 補修部分、交換相当費用 |
| 便器・洗面台などの給排水・衛生設備 | 15年 | 補修部分、交換相当費用 |
| ユニットバス・浴槽・下駄箱(建物に固着したもの) | 建物の耐用年数 | 補修部分、交換相当費用 |
| 鍵(紛失したとき) | 考えない | シリンダーの交換 |
| クリーニング(通常の清掃をしていなかったとき) | 考えない | 部位ごとか住戸全体 |
見積が高すぎると感じたときの確認の順番
一般的には、次の順に確かめると、どこで差が出ているのかが見えてきます。まず、見積の行ごとに、その傷や汚れが通常の使用によるものか、借主の不注意によるものかを分けます。日焼けによる変色、家具を置いたへこみ、冷蔵庫の裏の電気やけは、通常の使用の例として挙げられています。
次に、範囲を確かめます。クロスなら傷のある一面を超えて部屋全体になっていないか、カーペットなら一か所の汚れで全体が張替えになっていないかを見ます。そのうえで、単価と面積が書かれているかを見て、書かれていなければ内訳を求めます。ガイドラインのQ&Aは、貸主には敷金から差し引く費用の説明義務があり、借主は明細を求めて説明を受けられるとしています(ガイドライン Q&A Q17)。
最後に、部位ごとの経過年数が反映されているかを、このツールの結果と比べます。高級なクロスへのグレードアップの費用は借主が負担するものではないとされているため、入居時と同じ程度の材料で見積もられているかも確かめます。
特約の見方
契約書に、退去時のクリーニング代や畳の表替えを借主の負担とする特約があると、通常の損耗でも借主が払う場合があります。ただし、特約ならどれでも有効になるわけではありません。ガイドラインは、借主に特別な負担を課す特約には、次の3つがそろっている必要があるとしています(ガイドライン 第1章 6〜7ページ)。
また、平成17年12月16日の最高裁判所の判決は、通常損耗の補修を借主に負わせるには、その範囲が契約書の条項に具体的に書かれているか、貸主が口頭で説明して借主がはっきり認識し合意したと認められるなど、明確な合意が必要だとしています(ガイドライン 第1章で引用)。クリーニング特約について、Q&Aは、負担する内容と範囲が示されているか、通常損耗まで負担させる趣旨が書かれているか説明されているか、費用として妥当かで判断されるとしています(Q16)。
- 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
- 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
- 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること
東京都の物件の場合
東京都内の住宅を宅地建物取引業者の仲介や代理で借りる場合、業者は契約の前に、退去時の損耗の復旧や入居中の修繕は原則として貸主が行うとされていること、その契約で借主の負担になることを書面で渡して説明します。平成16年10月1日に施行された都の条例によるもので、東京ルールとも呼ばれます(東京都 条例と施行規則)。退去のときは、そのとき受け取った説明書を契約書と一緒に手元に置いて、見積の項目と見比べます。
原状回復費用の相場について
国土交通省、東京都、国民生活センターの公表資料を2026年10月23日に確かめましたが、原状回復費用の平均額や相場を示した数字は見つかりませんでした。ガイドラインのQ&Aも、費用は資材や施工の方法で物件ごとに違い、資材価格の資料にある単価は平均的なものにとどまると書いています(Q13)。
そのため、相場の数字と比べるよりも、見積の単価に面積を掛けた額が合っているか、負担の範囲が一面や一枚の単位に収まっているか、経過年数で減らしてあるかの3つを確かめるほうが確かです。この3つが分かれば、このツールで借主負担の目安を出せます。
相談先
話し合いで決まらないときは、消費者ホットライン188に電話すると、近くの市区町村や都道府県の消費生活センターを案内してもらえます(消費者庁)。仲介した業者の対応に疑問があるときは、物件のある都道府県で宅地建物取引業を担当する窓口に相談できます。相談のときは、契約書、特約の説明書、入居時と退去時の写真、見積書や請求書、このツールで印刷した一覧を用意しておくと話が進めやすくなります。
よくある質問
- 入居時の経過年数がわからないときはどうしますか?
- 管理会社に、その部位を最後に張り替えた時期や交換した時期を尋ねます。わからないときは、建物の築年数を一つの手がかりにして、貸主と話し合って決めるのがガイドラインの考え方です。ツールでは、新品のチェックを外して年数を入れると線が下にずれます。
- 6年以上住んだらクロスの費用は払わなくてよいのですか?
- 耐用年数を過ぎた分の価値は1円とされますが、落書きを消す費用のように、まだ使える壁を故意に汚したときの工事費や人件費は、借主の負担になることがあるとガイドラインは注意しています。ツールは価値の部分だけを計算しています。
- 見積に「一式」としか書かれていません。
- 部位ごとの単価、数量、面積の内訳を書面で出してもらいます。内訳があれば、範囲と経過年数を部位ごとに確かめられ、このツールに行を分けて入れられます。
- 入力した内容はどこかに送られますか?
- 送られません。計算はこのページの中だけで行い、CSVのコピーも端末のクリップボードに入るだけです。印刷する一覧にはサイトの名前は入らず、物件や立会日の欄は手で書き込めます。
出典と前提
最終確認日 2026年10月23日。この計算は国土交通省のガイドラインの考え方による目安で、実際の負担は契約の特約、損耗の程度、施工の単位、当事者の話し合いで変わります。法律の判断が必要なときは、消費生活センターや弁護士などの専門家に相談してください。