ダブルワークの年末調整は、扶養控除等申告書を出した1か所の勤務先でだけ受けます。もう1か所の給与は乙欄の高めの税額で源泉徴収され、その給与の収入が20万円を超えると、2か所の源泉徴収票で確定申告をして1年分の税金を精算します。
本業350万円に副業の給与60万円を足すと、所得税は23,993円、住民税は47,000円増えます。乙欄で引かれた所得税との差は、確定申告で還付か追加の納付になります。
甲欄と乙欄
扶養控除等申告書は、2か所以上で働いていても、どちらか1か所の勤務先にしか出せません。出した勤務先の給与(主たる給与)は月額表の甲欄で、もう1か所の給与(従たる給与)は乙欄で源泉徴収されます(国税庁 No.2520)。
乙欄の税額は、扶養する家族の人数を考えない高めの額です。雇う期間があらかじめ2か月以内と決まっている短い仕事は、日額表の丙欄で計算されます(国税庁 No.2511)。
年末調整はどちらで受けるか
年末調整をするのは、扶養控除等申告書を受け取っている勤務先だけです。もう1か所の勤務先は、その給与を年末調整に含めず、乙欄で引いた所得税のまま源泉徴収票を出します。
そのため、甲欄の勤務先の年末調整では、副業の給与の分の税金は精算されません。2か所の給与を合わせて税額を出し直すのは、本人がする確定申告です。
確定申告が要る人
副業の給与の収入と給与以外の所得の合計が20万円を超えると、確定申告が必要です(国税庁 No.1900)。給与の合計から所得控除(雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除を除く)を引いた額が150万円以下で、給与以外の所得が20万円以下なら、いりません。
下の表は、副業の給与ごとの増える税金と、確定申告の要否です。乙欄の源泉徴収は年末調整のような精算をしないので、申告で1年分の税額と比べ、引かれすぎていた分は戻り、足りない分は納めます。
| 本業350万円に足す副業の給与 | 増える所得税 | 増える住民税 | 確定申告 |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 7,657円 | 15,000円 | 不要 |
| 60万円 | 23,993円 | 47,000円 | 必要 |
| 100万円 | 40,329円 | 79,000円 | 必要 |
2か所の源泉徴収票
年が明けると、2か所の勤務先からそれぞれ源泉徴収票が届きます。甲欄の勤務先の源泉徴収票には年末調整のあとの税額が、乙欄の勤務先の源泉徴収票には1年間に引いた所得税の合計が書かれています。
確定申告では、2枚の支払金額を合わせて給与の収入にし、第二表の「所得の内訳」に、勤務先ごとの収入金額と源泉徴収税額を書きます。
住民税は本業の給与から
住民税は、2か所の勤務先がそれぞれ1月31日までに出す給与支払報告書(地方税法 第317条の6)をもとに、市区町村が給与を合わせて計算します。確定申告をしない場合に住民税の申告がいるかは市区町村で違い、横浜市は2か所以上から給与を受ける人に申告を求め、中野区は勤務先から給与支払報告書が出ていれば申告はいらないとしています。
住民税の通知と勤務先の関係は副業は会社に知られるかにまとめています。
よくある質問
- 扶養控除等申告書を両方の勤務先に出してしまいました。
- 扶養控除等申告書は1か所にしか出せないので、一方の勤務先に取り下げを伝えます。その勤務先では乙欄で源泉徴収し直すことになります。
- どちらで年末調整を受けるのがよいですか?
- どちらに申告書を出すかは本人が決めます。給与が多く、1年を通して勤める方に出すと、毎月の源泉徴収と1年の税額の差が小さくなります。
- 副業のアルバイトを年の途中で辞めました。
- 辞めた勤務先から源泉徴収票を受け取り、ほかの給与と合わせて判定します。収入が少なくても乙欄で引かれた所得税は、確定申告で精算できます。
出典と前提
最終確認日 2026年11月1日。副業の税金と社会保険の説明は一般的な目安です。実際の税額と申告の要否は、所得の内容と控除、市区町村や勤務先の扱いで変わります。