そろばんノート

個人間の契約書

使用貸借と賃貸借の違い

民法と借地借家法、国税庁の公表資料による一般的な説明です。

最終確認日 2026年10月15日

使用貸借は物を無償で使わせる契約、賃貸借は賃料を受け取って使わせる契約です(民法第593条、第601条)。どちらも「貸す」ことに変わりはありませんが、借主の権利の強さ、終わり方、費用の負担が大きく違います(e-Gov 民法)。

使用貸借賃貸借
対価無償(公租公課相当額以下の支払を含む)賃料を払う
借地借家法及ばない建物の賃貸借と建物所有目的の土地の賃貸借に及ぶ
借主の死亡原則として終わる相続人が引き継ぐ
貸主の死亡終わらない終わらない
終わる時期間の満了、目的に従った使用の終了、借主の死亡期間の満了と更新、解約の申入れ(貸主は正当事由が必要な場合あり)
通常の必要費借主の負担修繕は原則として貸主の負担
印紙(土地)不要第1号の2文書

借主の死亡で終わる

使用貸借は、借主が亡くなると終わります(民法第597条第3項)。借主との個人的な関係にもとづく無償の貸し借りだからです。貸主が亡くなっても使用貸借は終わらず、貸主の相続人が貸主の立場を引き継ぎます。賃貸借は、借主が亡くなっても相続人が借主の立場を引き継ぎます。

使用貸借で、期間を決めていない場合は、使用の目的に従った使用が終わった時に終わり、目的も決めていない場合は、貸主はいつでも解除できます(同法第598条)。借主のほうは、いつでも解除できます。

借地借家法は及ばない

借地借家法は、建物の賃貸借と、建物の所有を目的とする土地の賃貸借(借地)の借主を守る法律で、使用貸借には及びません。そのため、使用貸借の借主は、更新の請求や、正当事由がなければ解約されない、といった保護を受けられません。土地や建物の持ち主が変わった場合に、新しい持ち主に使用を続ける権利を主張することも難しくなります。

口約束でも成立するが、書面がない場合の解除

使用貸借は、当事者の合意だけで成立します(民法第593条)。ただし、書面によらない使用貸借は、借主が物を受け取るまでは、貸主が解除できます(同法第593条の2)。親族の間の口約束の貸し借りは、後で「貸した」「もらった」の食い違いが起きやすいため、書面にしておくと、期間や目的、返す時期がはっきりします。

費用の負担の違い

使用貸借では、借りた物の通常の必要費(固定資産税や日常の修理代など)は借主が負担します(民法第595条)。賃貸借では、修繕は原則として貸主の負担で、借主は賃料を払います。使用貸借で借主が固定資産税に相当する額を払っても、使用の対価ではないため、使用貸借のままです。

どちらにするか迷ったとき

親族や友人の間で、相手から何も受け取らずに貸すなら使用貸借、賃料を受け取るなら賃貸借です。賃料を受け取る場合は、借主の権利が強く守られ、返してもらうには正当な理由が必要になることを知ったうえで決めます。無償で貸す場合も、期間と目的を書面にしておくと、返してもらう時期がはっきりします。途中で無償から有償に変えるときは、新しく賃貸借契約を結び直します。有償に変えると、借地借家法が適用されるようになる場合があるため、変える前に影響を確かめます。

よくある質問

少しだけ謝礼を受け取るとどうなりますか?
受け取る額が使用の対価といえる程度なら賃貸借になる可能性があります。国税庁の通達は、公租公課に相当する額以下なら使用貸借として扱うとしています。
使用貸借の物が壊れたら?
借主の責任による損傷は、返すときに借主が原状に回復します(民法第599条)。

計算の前提と出典

最終確認日 2026年10月15日。ここに書いた内容は、法令と国税庁・国土交通省などの公表資料による一般的な説明です。個別の契約や税金の扱いは、弁護士・司法書士・税理士などの専門家に確かめてください。このページは、どなたかの個別の事情について判断するものではありません。