そろばんノート

個人間の契約書

親族に家を貸すとき

所得税法・借地借家法と国税庁の個別通達による一般論です。個別の判断は税理士・弁護士に確かめてください。

最終確認日 2026年10月15日

親や子、兄弟姉妹に家や部屋を貸すときは、家賃を相場より低くしたり、無償で貸したりすることがよくあります。家賃を受け取るか受け取らないかで、契約の種類も税金の扱いも変わります。ここでは一般的な考え方を整理します。個別の家族の事情や税額の判断は、税理士や弁護士に確かめてください。

家賃を低くしてよいか

家賃の額は、貸主と借主が合意して決めます。親族だからといって相場どおりにする義務はありません。ただし、家賃を受け取る以上は賃貸借契約で、借地借家法が適用され、更新や解約には正当な理由が必要になります。親族間でも、後で家を使いたくなったときに簡単には返してもらえない点を知っておきます。

家賃を受け取った貸主は、その家賃が不動産所得になり、必要経費を差し引いた所得に税金がかかります(所得税法第26条)。相場より低い家賃で貸した場合の税務上の扱いは、個別の事情によるため、税理士に確かめてください。

無償なら使用貸借

家賃を受け取らずに貸す場合は、賃貸借ではなく使用貸借です。使用貸借には借地借家法が及ばず、期間や目的が終われば返してもらえ、借主が亡くなれば原則として終わります。固定資産税などの公租公課に相当する額だけを受け取る場合も、使用貸借として扱われます(国税庁 昭和48年の個別通達)。詳しくは使用貸借と賃貸借の違いを見てください。

相続のときの評価の考え方

親が持っている家や土地を子に貸している場合、親が亡くなったときの相続税の評価が、賃貸借か使用貸借かで変わることがあります。賃貸借で貸している家は「貸家」、その敷地は「貸家建付地」として評価が下がることがある一方、使用貸借で貸している場合は、自分で使っている場合と同じ評価になるのが一般的です。どちらが家族にとってよいかは、相続全体の状況によるため、税理士に相談してください。

親の土地に子が家を建てる場合の扱いは親の土地に無償で家を建てるときにまとめています。

書面に残しておくこと

親族に貸す場合でも、家賃の額と支払の方法、期間、修繕の負担、固定資産税の負担、返してもらう時期と条件を書面にしておきます。ほかの兄弟姉妹がいる場合は、貸していることと条件を家族で共有しておくと、相続のときの話し合いで役立ちます。

贈与との関係

親が子に相場よりかなり低い家賃で家を貸したり、家賃を受け取る約束をしながら実際には受け取っていなかったりすると、税務上の扱いが問われることがあります。契約書に書いた内容どおりに受け取り、記録を残しておくことが基本です。

家族で決めておくこと

誰がいつまで住むか、住まなくなったときに家をどうするかを、貸す時点で家族で話し合っておきます。親が施設に入る、子が転勤するなど、事情が変わったときの扱いも書いておくと、後で迷いません。

よくある質問

親族に貸すときも契約書は必要ですか?
法律上の義務はありませんが、家賃の有無、期間、修繕の負担、返してもらう時期を書面にしておくと、ほかの親族との間でも説明しやすくなります。
家賃を受け取ったら申告が必要ですか?
給与のある人は、給与以外の所得が年20万円を超えると確定申告が必要になるのが一般的です。

計算の前提と出典

最終確認日 2026年10月15日。ここに書いた内容は、法令と国税庁・国土交通省などの公表資料による一般的な説明です。個別の契約や税金の扱いは、弁護士・司法書士・税理士などの専門家に確かめてください。このページは、どなたかの個別の事情について判断するものではありません。