そろばんノート

相続の手続きと期限

相続で必要な戸籍の集め方

出生から死亡までの戸籍をそろえる手順と費用。

相続の手続きでは、亡くなった人の出生から死亡までが途切れずにつながる戸籍を集めます。生まれてから亡くなるまでの間に、法改正による作り直しや結婚、本籍の移動があるたびに戸籍が別になるため、多くの人は3通から5通ほどの戸籍に分かれています。

手数料は1通につき戸籍謄本が450円、除籍謄本と改製原戸籍が750円です(政令で定める標準額で、実際の額は市区町村の条例によります)。2024年3月1日から始まった広域交付により、本籍地が遠くても、最寄りの市区町村の窓口で本人や配偶者、直系の家族の戸籍をまとめて請求できるようになりました(戸籍法120条の2)。

なぜ出生からの戸籍が要るのか

銀行や法務局が出生からの戸籍を求めるのは、相続人が誰なのかを確定するためです。死亡時の戸籍だけでは、前の結婚で生まれた子や、婚姻前に認知した子が載っていないことがあります。過去の戸籍をさかのぼると、そうした子の存在が分かります。

相続人の側も、自分が今も生存していることを示すため、現在の戸籍謄本を用意します。相続人が兄弟姉妹になる場合は、被相続人の父母の出生から死亡までの戸籍も必要になり、通数が大きく増えます。

改製原戸籍・除籍・転籍の読み方

改製原戸籍は、法律の改正で戸籍の様式が作り直される前の古い戸籍です。昭和32年の法務省令による改製と、平成6年から始まったコンピュータ化による改製があり、多くの人は両方の時点で古い戸籍が残っています。作り直した際に、死亡や婚姻で除かれた人は新しい戸籍に書き写されません。

除籍は、戸籍に載っている人が死亡や婚姻で全員いなくなり、閉じられた戸籍です。転籍は本籍を別の場所に移すことで、他の市区町村へ転籍すると、新しい本籍地で別の戸籍が作られます。古い戸籍は元の市区町村に除籍として残るため、そこへ請求します。

集めるときは、取得した戸籍の欄外や身分事項にある「従前本籍」「改製日」「転籍日」を見て、一つ前の戸籍がどこにあるかをたどっていきます。最も古い戸籍に出生の記載があれば、さかのぼりは終わりです。

広域交付で請求できる範囲

広域交付で請求できるのは、本人、配偶者、父母や祖父母などの直系尊属、子や孫などの直系卑属の戸籍です。兄弟姉妹の戸籍は対象外で、窓口に請求者本人が行く必要があり、郵送や代理人による請求はできません。詳細は法務省の広域交付の案内にあります。

一部のコンピュータ化されていない戸籍は広域交付で取れません。その場合や兄弟姉妹の戸籍を取る場合は、本籍地の市区町村に郵送で請求し、手数料は定額小為替で納めます。返信用封筒と本人確認書類の写しも同封します。

手数料の計算例

父が2027年1月に亡くなり、相続人が母と長男・長女の3人だったとします。父の戸籍は、昭和の改製原戸籍1通、平成のコンピュータ化前の改製原戸籍1通、転籍前の除籍謄本1通、死亡の記載がある現在の戸籍謄本1通に分かれていました。

改製原戸籍と除籍謄本の3通で750円×3=2,250円、現在の戸籍謄本が450円で、父の分は2,700円です。長男と長女はそれぞれ結婚して別の戸籍にいるので、2人の戸籍謄本450円×2=900円を足し、合計は3,600円になります。母は父の現在の戸籍に載っているため追加はありません。

一覧図で代替できる提出先

集めた戸籍は、法定相続情報一覧図と一緒に法務局へ申し出ると、認証された一覧図の写しに置き換えられます(法定相続情報証明制度)。写しは無料で必要な通数もらえ、相続登記、金融機関の預貯金の手続き、年金の手続き、税務署への相続税申告で戸籍の束の代わりに使えます。

一覧図には放棄した相続人も載るため、放棄の事実は別に相続放棄申述受理証明書で示します。作り方は法定相続情報一覧図と申出に必要な書類で説明しています。

よくある質問

戸籍の和暦の日付を西暦にしたいときは。
古い戸籍の日付は明治・大正・昭和などの和暦で書かれています。出生や婚姻の順番を確かめるときは、和暦西暦変換で年を置き換えると比べやすくなります。
戸籍謄本と戸籍抄本のどちらを取りますか。
相続では、その戸籍に載っている全員が分かる謄本(全部事項証明書)を使います。抄本(個人事項証明書)は一人分しか載らないため、相続人の確定には使えません。
戸籍は何か月以内に取ったものが必要ですか。
戸籍の有効期限は法律で決まっておらず、提出先が決めています。金融機関では発行から3か月や6か月以内を求める例があり、法定相続情報の申出や相続登記では期限を設けていません。

このページは、法律と公的機関の案内にもとづく一般的な説明と計算の目安です。あなたの場合にどうするかの判断は、司法書士・税理士・弁護士、または法務局・税務署・家庭裁判所の相談窓口にご確認ください(司法書士法、税理士法、弁護士法72条)。

出典

最終確認日 2026年10月15日。法律の条文は e-Gov 法令検索、手続きは各機関のページで確かめています。