そろばんノート

相続の手続きと期限

遺産分割協議書の書き方

相続人全員の合意を、登記や銀行で通用する形で書面にします。

遺産分割協議は相続人全員で行い、一人でも欠けると無効です(民法907条)。協議書には誰がどの財産を取得するかを書き、相続人全員が署名または記名し、実印で押印します。各相続人の印鑑証明書を添えると、相続登記や預貯金の解約に使える書面になります。

協議書に提出期限はありませんが、相続税の申告がある相続では、死亡日から10か月の申告期限までに分け方が決まっていないと、配偶者の税額軽減などを使った申告ができません。相続登記の3年の期限も、協議がまとまるまでの時間に含まれます。

入力した内容はこのページの中だけで書式にし、どこにも送らず、保存もしません。

被相続人

相続人(全員)

氏名住所(印鑑証明書のとおり)

財産と取得する人

種類財産の表示取得する相続人

代償金・債務・後日判明した財産

できあがりの見本

署名の欄は、各相続人が自分で署名(または記名)し、実印を押します。各相続人の印鑑証明書を添えます。

不動産の書き方

不動産は、法務局で取る登記事項証明書の記載をそのまま書き写します。土地は所在、地番、地目、地積、建物は所在、家屋番号、種類、構造、床面積です。住居表示の住所(〇丁目〇番〇号)は地番と一致しないことが多く、住所だけで書くと登記で受け付けられないことがあります。

地積は「123.45平方メートル」のように小数点以下まで写します。マンションは一棟の建物の表示、専有部分の建物の表示、敷地権の表示を順に書きます。固定資産税の納税通知書には登記されていない建物が載っていることがあり、未登記の建物は「未登記建物」として家屋番号の代わりに所在と構造などを書きます。

預貯金と株式の書き方

預貯金は、金融機関名、支店名、預金の種類、口座番号を書きます。例として「〇〇銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号1234567」の形です。残高は日々変わるため、金額は書かずに口座で特定し、「同口座の預金債権全部(利息を含む)」と書く方法が一般的には使われています。

株式や投資信託は、証券会社名、支店名、口座番号、銘柄と数量で特定します。預貯金の仮払い制度(民法909条の2)で協議前に引き出した分があるときは、その金額を誰が受け取ったかも協議書に書いておくと、後の精算で食い違いが出にくくなります。

代償分割と債務

代償分割は、特定の相続人が不動産などを取得し、その代わりに他の相続人へ金銭を払う分け方です。「長男は、第1条の不動産を取得する代償として、長女に金500万円を2027年3月31日までに支払う」のように、金額、相手、支払期限を書きます。

借入金などの債務は、法定相続分に応じて当然に分かれるのが原則で、協議書で一人が負担すると決めても、債権者の承諾がなければ債権者には対抗できません。協議書には「相続人間では長男が負担する」と書き、債権者との関係は別に整理します。

後日判明した財産と訂正の仕方

協議の後に見つかった財産の扱いを決めておく条項です。「本協議書に記載のない遺産が後日判明したときは、長男が取得する」や「その遺産は相続人全員で別途協議する」のように書きます。この条項がないと、新しく見つかった財産ごとに改めて全員で協議します。

書き損じたときは、誤った部分に二重線を引いて正しい内容を書き、余白に「〇字削除〇字加入」と記載して、相続人全員が実印で訂正印を押すのが一般的な実務です。訂正箇所が多いときは、作り直して全員が押印し直す方が確認しやすくなります。

割印と契印

協議書が2枚以上になるときは、ページのつなぎ目に相続人全員の実印で契印を押すのが一般的な実務です。ホチキスで留めて見開きの境目に押す方法と、製本テープで綴じて表紙と裏表紙のテープの境目に押す方法があります。

同じ内容の協議書を相続人の人数分作り、各自が1通ずつ持つときは、並べた協議書にまたがるように割印を押します。契印も割印も法律で決められた要件ではなく、差し替えや追加がないことを示すための慣行です。

未成年の相続人がいるときの特別代理人

父が亡くなり、母と未成年の長男が相続人という場合、母は長男の親権者ですが、遺産分割では母と長男の利益がぶつかります。このときは家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立て、特別代理人が長男に代わって協議に加わります(民法826条、裁判所 特別代理人選任(親権者とその子との利益相反の場合))。

未成年の子が2人いれば、子ごとに別の特別代理人が要ります。申立ては子の住所地の家庭裁判所で、子1人につき収入印紙800円です。申立書には協議書の案を添え、未成年者に不利な内容でないかを裁判所が見ます。

よくある質問

印鑑証明書は発行から何か月以内のものが必要ですか。
相続登記では期限が定められていません。金融機関は、一般的には発行から3か月以内や6か月以内のものを求めます。提出先ごとに確認します。
相続人が遠方に住んでいて集まれません。
協議は全員が同じ場所に集まる必要はありません。協議書を郵送で回して順に署名押印する方法や、同じ内容の協議書を人数分作って各自が押印する方法があります。
相続放棄した人も協議書に署名しますか。
家庭裁判所で放棄した人は初めから相続人でなかったものとみなされるため(民法939条)、協議には加わらず、署名も不要です。

このページは、法律と公的機関の案内にもとづく一般的な説明と計算の目安です。あなたの場合にどうするかの判断は、司法書士・税理士・弁護士、または法務局・税務署・家庭裁判所の相談窓口にご確認ください(司法書士法、税理士法、弁護士法72条)。

出典

最終確認日 2026年10月15日。法律の条文は e-Gov 法令検索、手続きは各機関のページで確かめています。