退職の意思は、まず直属の上司に、ほかの人に聞かれない場所で伝えるのが、多くの職場での一般的な順番です。法律は伝え方の形を決めておらず、期間の定めのない雇用なら、申し出た日から2週間で雇用が終わります(民法第627条第1項)。
このページでは、切り出す時期と話す順序、3つの場面の例文、引き止められたときの考え方、伝えた後の手続きを、慣行と法律の決まりに分けてまとめます。
伝える時期
最初に確かめるのは、就業規則にある退職の申し出の期間です。1か月前までと決めている会社で2026年11月2日(月)に伝えると、就業規則で数えた日は2026年12月2日(水)、民法で数えた日は2026年11月16日(月)になります。両方の日は退職日の計算で出せます。
慣行としては、引き継ぎに必要な期間と、仕事の繁忙期を考えて、辞めたい日から逆算して伝える人が多くいます。転職先の入社日が決まっているときは、その日の前日までに退職日が来るように、余裕を持って切り出します。
伝える相手と場所
慣行では、最初に伝えるのは直属の上司です。同僚や取引先に先に話すと上司が人づてに知ることになるため、多くの人は上司に最初に伝えています。上司に「ご相談したいことがあるので、少しお時間をいただけますか」と声をかけ、会議室など二人で話せる場所と時間を取ってもらいます。
直属の上司に話しにくい事情があるときは、人事の担当者に先に相談する方法もあります。会社によっては、退職の申し出の窓口を就業規則で決めていることがあります。
話す順序
慣行として、多くの人が次の順で話しています。
- 結論から伝えます。「退職させていただきたいと考えています」と、相談ではなく意思として話します。
- 退職を希望する日を伝えます。就業規則の期間と、引き継ぎに必要な日数を考えた日にします。
- 理由は短く伝えます。詳しい事情まで話す決まりはなく、「一身上の都合」でまとめる人も多くいます。
- 引き継ぎの考えを伝え、退職届(または退職願)をいつ、誰に出せばよいかを確かめます。
例文(3つの場面)
名前や日付はご自身のものに置き換えてください。話す内容の例で、決まった言い回しがあるわけではありません。
転職先が決まっているとき
お忙しいところお時間をいただきありがとうございます。私事で恐縮ですが、2026年◯月◯日付で退職させていただきたく、ご相談に参りました。次の職場が決まり、◯月◯日から勤めることになっています。担当している業務は、◯月◯日までに引き継ぎを終えられるよう準備します。
家庭の事情のとき
お時間をいただきありがとうございます。家族の事情で、今の働き方を続けることが難しくなりました。2026年◯月◯日での退職をお願いしたいと考えています。引き継ぎの進め方について、ご相談させてください。
体調を理由にするとき
お時間をいただきありがとうございます。体調を整えることに専念したく、2026年◯月◯日をもって退職させていただきたいと考えています。引き継ぎは、できる範囲で資料にまとめてお渡しします。
引き止められたとき
引き止めには、待遇や部署の見直しの提案や、後任が決まるまで待ってほしいという頼みがよくあります。提案を受けるかどうかは本人が決めることで、受けるときは条件を書面やメールで確かめておくと、後で行き違いが起きにくくなります。
辞める意思が変わらないときは、期間の定めのない雇用なら、会社の承諾がなくても申し出から2週間で雇用が終わります。茨城労働局は「新しい人が見つかるまで待て」と言われる相談に、申し出が伝わった日の翌日から14日がたてば法律上は退職が成立すると答えています。同じ話が繰り返されて辞められない、強い言葉で責められるといったときは、日時とやり取りを記録して、総合労働相談コーナーに相談できます。
伝えた後の手続き
退職日が決まったら、会社の様式か退職届を出します。書き方はしきたりノートの退職届の書き方とテンプレートにあります。引き継ぎの資料を作り、社員証や会社のパソコンなど借りているものを返します。
退職の後は、健康保険と年金の切り替え、住民税の払い方、離職票の受け取りなどがあります。期限のあるものは退職後の手続きとお金に、離職票は離職票のページにまとめています。同僚や取引先への挨拶は、しきたりノートの退職の挨拶に文例があります。
転職先が決まっているとき
入社日と退職日の間が空くと、その間の健康保険と年金の手続きが自分で必要になります。退職日の翌日に入社するように日を合わせると、空白ができません。入社日をずらせないときは、退職日の希望をそれに合わせて早めに伝えます。
よくある質問
- メールやチャットで退職を伝えてもいいですか?
- 民法第627条は申し出の方法を決めていません。ただ、会社の就業規則が書面での提出を求めていることがあり、慣行としては、まず口頭で上司に伝えてから書面を出す人が多くいます。
- 退職の理由は正直に言わないといけませんか?
- 詳しい理由を話す決まりはありません。ただし、会社から退職を勧められて辞めるときは、失業保険の離職理由に関わるので、経緯を記録しておくと受給の手続きで役立ちます。
- 上司に退職を言いにくいときは?
- 人事の担当者に先に相談する方法があります。伝えた内容と日付は、メモやメールで残しておきます。
出典と前提
最終確認日 2026年11月2日。このページは、民法・労働基準法の条文と、厚生労働省・労働局・ハローワーク・日本郵便の案内にもとづく一般的な説明です。実際の扱いは、雇用契約や就業規則、個別の事情で変わります。