そろばんノート

退職後の手続きとお金

退職勧奨とは

厚生労働省・労働局の案内、最高裁 昭和55年7月10日 第一小法廷判決、内閣人事局の案内による説明。

この内容は2026年10月25日時点のものです。

最終確認日 2026年10月25日

退職勧奨(たいしょくかんしょう)は、会社が働く人に、自分から退職する気持ちになってもらうよう働きかけることです。厚生労働省の「確かめよう労働条件」は、勧奨を受けた人は理由を問わず、自由な意思で退職を断れると説明しています。会社が一方的に契約を終わらせる解雇とは違い、退職勧奨は、働く人が応じて初めて退職につながります。

勧奨に応じて退職した場合は、自己都合による退職にはならないと厚生労働省は案内しています。雇用保険では、事業主から退職を勧められて辞めた人は特定受給資格者に当たります。

解雇との違い

解雇は会社の一方的な意思表示で、労働契約法第16条により、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性がなければ無効です。退職勧奨は、会社と働く人が合意して契約を終える「合意退職」を目指す働きかけなので、断れば雇用は続きます。

勧奨のあとで退職届を出したり退職の合意書に署名したりすると、解雇ではなく合意による退職として扱われます。どちらに当たるかで、争うときの考え方や離職票の書き方が変わるので、会社からの話が解雇なのか勧奨なのかを最初に確かめます。

違法になるとき

最高裁 昭和55年7月10日 第一小法廷判決(昭和52年(オ)第405号)は、広島高裁 昭和52年1月24日判決の判断を維持し、勧奨の回数や期間、言動などから、全体として自由な意思表示が妨げられる状況での退職勧奨は違法な権利侵害になるとしました。

厚生労働省も、労働者の自由な意思決定を妨げる退職勧奨は違法な権利侵害に当たるとされる場合があると説明しています。断ったあとも何度も呼び出す、長時間にわたって迫る、大声や人格を否定する言葉で辞めるよう求めるといった働きかけは、この点が問われます。

パワハラとの関係

退職を迫る言動が、職場での優越的な関係を背景にした、業務の範囲を超えるものであれば、職場のパワーハラスメントとしても相談できます。どちらの場合も、いつ、だれに、どこで、何を言われたかを、その日のうちにメモや録音で残しておくことが、相談の出発点になります。

退職勧告との違いと読み方

厚生労働省や労働局の案内で使われているのは「退職勧奨」で、「退職勧告」という言葉は法律や公的な案内には出てきません。一般には、勧告のほうが強く求める響きで使われますが、法律上の扱いに違いはなく、どちらも応じるかどうかは働く人が決めます。

「勧奨退職」(かんしょうたいしょく)は、勧奨を受けて退職することを指す言い方で、公務員の退職手当の区分の名前として使われてきました。

公務員の勧奨退職

国家公務員の「勧奨退職」は、内閣人事局によると2013年10月31日で廃止され、2013年11月1日から早期退職募集制度に変わりました。国家公務員退職手当法第8条の2は、応募や応募の取下げは職員の自発的な意思に委ねられ、強制してはならないと定めています。

定年前に応募して退職した人には、定年前早期退職特例措置として、定年までの残りの年数1年につき3%(最大45%)退職手当の基本額が加算されます。地方公務員の扱いは、それぞれの自治体の条例で決まっています。

勧奨される人の特徴

退職勧奨を受ける人の特徴や割合を示した公的な統計はありません。会社が理由として挙げるのは、能力や成績、勤務態度、事業の縮小などさまざまですが、どの理由であっても、勧奨に応じるかどうかを決めるのは働く人です。

よくある質問

退職勧奨を断ると解雇されますか?
断ったこと自体は解雇の理由になりません。そのあとに解雇された場合は、その解雇に客観的に合理的な理由があるかどうかが別に問われます(不当解雇とは)。
退職勧奨を受けたらどうすればいいですか?
その場で返事や署名をせず、条件を書面でもらって考えます。進め方は退職勧奨されたらにまとめています。

出典と前提

最終確認日 2026年10月25日。このページは法律と公的機関の案内による一般的な説明で、個別の事案について判断するものではありません。実際の事案は、都道府県労働局の総合労働相談コーナー(予約不要・無料)、法テラス、弁護士に相談できます。