不当解雇とは
労働契約法・労働基準法・個別労働関係紛争解決促進法、裁判所・法テラスの案内、労働政策研究・研修機構の調査による説明。
この内容は2026年10月25日時点のものです。
最終確認日 2026年10月25日
不当解雇は、法律で決まった言葉ではなく、法律のルールに反する解雇を指す一般的な言い方です。中心になるのは労働契約法第16条で、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定めています。無効とされた解雇は、はじめからなかったことになり、労働契約は続いていたものとして扱われます。
解雇が無効になる場合
労働契約法第16条のほかにも、解雇を禁止したり制限したりする決まりがあります。
- 仕事が原因のけがや病気で休む期間とその後30日間、産前産後の休業期間とその後30日間の解雇(労働基準法第19条)
- 契約期間の途中の解雇は、やむを得ない事由がなければできない(労働契約法第17条第1項)
- 懲戒解雇は、就業規則に事由が定められ、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性があること(労働契約法第15条)
- 労働局に紛争の解決を求めたことを理由とする解雇(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条第3項、第5条第2項)
30日前の予告や解雇予告手当を払ったかどうかは手続きの問題で、予告をしたからといって、理由のない解雇が有効になるわけではありません。
相談先と手続きの流れ
- 総合労働相談コーナー(各都道府県労働局と労働基準監督署など、予約不要・無料)で相談します。
- 希望すれば、都道府県労働局長が会社に助言や指導をします(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条)。
- 話し合いで解決したいときは、紛争調整委員会のあっせんを申請できます(同法第5条)。
- 裁判所の労働審判は、原則として3回以内の期日で審理を終える手続きで、異議が出ると訴訟に移ります。
- 法テラスでは、収入と資産が一定以下の人は、同じ問題について1回30分、3回まで無料で弁護士に相談できます。
解決金の目安
解雇を争って話し合いで解決するときは、会社が解決金を払い、労働者は退職するという形になることが多くあります。解決金に決まった相場はありませんが、労働政策研究・研修機構の調査では、手続きごとの中央値が次のように公表されています。
| 調査(公表年) | 手続き | 数えた事案 | 解決金の中央値 |
|---|---|---|---|
| 労働政策研究報告書 No.174(2015年) | 労働局のあっせん | 2012年度、4労働局、853件(雇用紛争全体(解雇、雇止め、退職勧奨、労働条件の引下げなど)) | 156,400円(月収の1.1か月分) |
| 労働政策研究報告書 No.174(2015年) | 労働審判 | 2013年、4地方裁判所、452件(雇用紛争全体) | 1,100,000円(月収の4.4か月分) |
| 労働政策研究報告書 No.174(2015年) | 裁判上の和解 | 2013年、4地方裁判所、193件(雇用紛争全体) | 2,301,357円(月収の6.8か月分) |
| 労働政策研究報告書 No.226(2023年) | 労働審判 | 2020年から2021年、1地方裁判所本庁、759件(雇用終了の事案(約7割が解雇)) | 1,500,000円(月収の4.7か月分) |
| 労働政策研究報告書 No.226(2023年) | 裁判上の和解 | 2020年から2021年、1地方裁判所本庁、275件(雇用終了の事案(約7割が解雇)) | 3,000,000円(月収の7.3か月分) |
| 労働政策研究報告書 No.237(2025年) | 労働局のあっせん(解雇型) | 2023年度、4労働局、179件(解雇の事案) | 235,000円(月収の1.03か月分) |
慰謝料と、裁判の勝率
慰謝料は、解雇の方法などで精神的な苦痛を受けたときに認められることがある損害賠償で、解雇が無効になればいつも払われるというものではありません。慰謝料だけの額をまとめた公的な調査は見当たらないため、このページでは数字を示していません。
解雇の裁判で労働者が勝つ割合を示した公的な統計もありません。労働審判や裁判の多くは、和解などの話し合いで終わっていて、上の調査も、和解などで決まった解決金を数えたものです。
解雇を争う前に確かめること
解雇理由証明書をもらって、会社が示した理由を確かめます。そのうえで、理由に当たる事実があったか、注意や指導を受けたことがあるか、ほかの人と比べて重すぎないかを、記録をもとに整理します。手順は解雇されたらやることにあります。
会社の側の解雇の手続きは、会社向けの解雇の手続きで説明しています。
よくある質問
- 不当解雇の相談は無料ですか?
- 総合労働相談コーナーは無料です。法テラスは、条件を満たせば1回30分、3回まで無料で相談できます。
- 会社に戻らず解決金だけを求めることはできますか?
- あっせんや労働審判では、退職を前提に解決金を払う形で話し合いがまとまることがあります。どう求めるかは、相談先と事情を整理して決めます。
出典と前提
最終確認日 2026年10月25日。このページは法律と公的機関の案内による一般的な説明で、個別の事案について判断するものではありません。実際の事案は、都道府県労働局の総合労働相談コーナー(予約不要・無料)、法テラス、弁護士に相談できます。