そろばんノート

退職後の手続きとお金

試用期間とは

労働基準法・最低賃金法、最高裁 昭和48年12月12日 大法廷判決、厚生労働省・労働局・日本年金機構の案内による説明。

この内容は2026年10月25日時点のものです。

最終確認日 2026年10月25日

試用期間は、会社が採用した人の適性や能力を、実際に働いてもらいながら確かめるための期間です。長さを決めた法律はなく、厚生労働省のモデル就業規則も、期間を会社が書き入れる形にしたうえで、あまりに長い期間は好ましくないとしています。試用期間中も労働契約はすでに成り立っていて、最高裁 昭和48年12月12日 大法廷判決は、試用期間を、会社が契約を解約する権利を残した労働契約(解約権留保付労働契約)と捉えています。

給料、社会保険、有給休暇、残業代などは、試用期間中でも本採用のあとと同じく、労働基準法などのルールのもとで決まります。下では、それぞれの扱いを順に説明します。

期間の長さと延長

多くの会社は就業規則で3か月から6か月ほどの期間を決めていますが、法律で決まった長さではありません。適性を判断するのに必要な合理的な期間を大きく超える試用期間は、公序良俗に反して無効とした裁判例もあります(名古屋地裁 昭和59年3月23日判決)。

試用期間の延長についても、法律に決まりはありません。延長を言われたときは、就業規則や労働契約書に延長の定めがあるか、延長の理由と期間が示されているかを確かめます。モデル就業規則には、試用期間を短くしたり設けなかったりする定めはありますが、延長の定めはありません。

本採用との違い

試用期間が終わって本採用になっても、新しく契約を結び直すわけではなく、同じ労働契約が続きます。違いは、試用期間中は会社が契約を解約する権利を残している点で、最高裁はこの解約を「解雇」に当たるとしたうえで、留保解約権の行使は、解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認されうる場合にのみ許されるとしています。

厚生労働省のモデル就業規則には「試用期間は、勤続年数に通算する」という定めがあり、本採用のあとの勤続年数は入社日から数える形になっています。

給料と最低賃金

試用期間中の給料を本採用のあとより低く決めることはできますが、最低賃金を下回ることはできません。最低賃金法第7条は、試の使用期間中の人について、都道府県労働局長の許可を受けた場合に限って最低賃金を下回ることを認めていて、福岡労働局の案内では減額できる率の上限は20%、期間は最長でも6か月です。

求人票や労働条件通知書に書かれた試用期間中の給料と、実際の給料が違う場合は、まず書面の内容を確かめます。労働条件は、採用のときに書面などで示すことが労働基準法第15条で決められています。

社会保険と雇用保険

日本年金機構は、試用期間中でも報酬が支払われる場合は使用関係が認められるとしていて、週の労働時間などの加入の条件を満たせば、入社した日から健康保険と厚生年金に入ります。「試用期間が終わってから加入する」という扱いは、この案内と合いません。

雇用保険も、愛知労働局が「本採用決定前の試用期間中であっても」適用要件を満たせば被保険者になると案内していて、週20時間以上で31日以上働く見込みがあれば、入社の日から加入します。給与明細で保険料が引かれているかを確かめると、加入しているかがわかります。

有給休暇と残業

年次有給休暇は、雇い入れの日から6か月続けて勤め、全労働日の8割以上出勤すると付与されます(労働基準法第39条)。大分労働局の案内のとおり、この6か月には試用期間も含まれるので、試用期間が3か月なら、本採用から3か月で最初の有給休暇が付きます。

残業や休日出勤をした場合の割増賃金(労働基準法第37条)も、試用期間中かどうかに関係なく支払われます。試用期間中だから残業代が出ない、という決まりはありません。

ボーナス、パート・契約社員、欠勤

ボーナス(賞与)は法律で支払いが決まったものではなく、支給の条件は会社の規程によります。査定の期間に試用期間が含まれる場合、支給額を少なくする規程の会社もあるので、就業規則や賃金規程で確かめます。

パートやアルバイト、契約社員にも試用期間を設けることはできます。欠勤が何日までなら本採用になるという決まりも法律にはなく、病気などで休んだときは、早めに会社に連絡して、本採用の判断にどう関わるかを確かめておきます。

よくある質問

試用期間中でも解雇予告はありますか?
入社から14日を超えて働いている場合は、30日前の解雇予告か解雇予告手当が必要です(試用期間中の解雇)。
試用期間中に辞めるときも2週間前に言う必要がありますか?
期間の定めのない契約なら、民法第627条で申し出から2週間たつと終わります(試用期間中に辞めるとき)。

出典と前提

最終確認日 2026年10月25日。このページは法律と公的機関の案内による一般的な説明で、個別の事案について判断するものではありません。実際の事案は、都道府県労働局の総合労働相談コーナー(予約不要・無料)、法テラス、弁護士に相談できます。