退職金を支払う義務は、法律で一律に決まっているものではありません。労働基準法には退職金の支払いを義務づける定めはなく、会社が就業規則や労働契約で退職金の制度を設けた場合に、その定めのとおり支払う義務が生まれます(労働基準法第89条第3号の2、e-Gov)。厚生労働省の調査では、退職給付の制度がある企業は74.9%で、4社に1社ほどは制度がありません(厚生労働省)。
自分の会社に退職金があるかの確かめ方
まず就業規則と、別にまとめられていることが多い退職金規程を確かめます。従業員が10人以上の会社は就業規則を作って届け出る義務があり、退職金の制度があればその内容を書くことになっています。就業規則は従業員がいつでも見られるようにしておく必要があります。
入社のときの労働条件通知書や雇用契約書、求人票にも、退職金の有無が書かれていることがあります。会社の担当者に、中退共などの退職金共済に入っているかを聞いて確かめる方法もあります。
退職金がない会社のときの備え
退職金の制度がない会社に勤めている場合は、自分で老後や転職の資金を準備することになります。個人型確定拠出年金(iDeCo)は掛金が全額所得控除になり、受け取るときも一時金なら退職所得控除が使えます。会社に企業型確定拠出年金や中退共の導入を相談する方法もあります。
転職先を選ぶときは、求人票の「退職金制度」の欄や、面接で退職金の有無と計算方法を確かめておくと、長く勤めたときの差が見えます。
懲戒解雇のときの不支給
就業規則に「懲戒解雇の場合は退職金を支給しない、または減額する」という定めがあれば、その定めによって不支給や減額になることがあります。ただし、裁判例では、退職金には長年の勤続への報償の性格もあるため、全額を支給しないことが認められるのは、それまでの勤続の功を抹消するほどの著しい背信行為がある場合に限られるとされるのが一般的です。
不支給や減額の理由を設ける場合は、就業規則に書いておく必要があります(平成11年3月31日 基発168号)。自分のケースが当てはまるかどうかは、労働基準監督署や弁護士などの専門家に相談してください。
よくある質問
- 就業規則に退職金の定めがなければもらえませんか?
- 定めも労働契約での約束もなければ、一般的には請求の根拠がありません。過去に全員に支払ってきた慣行がある場合などは、専門家に相談してください。
- パートでも退職金はもらえますか?
- 就業規則の対象に含まれていれば受け取れます。会社が中退共に入っていれば、パートも加入できます。
制度がある会社の割合
退職給付の制度がある企業は、従業員1,000人以上で90.1%、300人から999人で88.8%、100人から299人で84.7%、30人から99人で70.1%と、規模が小さいほど低くなります(令和5年就労条件総合調査)。前回の平成30年調査の80.5%から全体では下がっています。
計算の前提と出典
最終確認日 2026年10月14日。ここに出る金額は、公表されている計算式と調査の数字で出した目安です。実際の退職金の額と支払時期は会社の就業規則(退職金規程)が、税金は勤務先と税務署の計算が決めます。このページは、どなたかが受け取れるかどうかや金額を判断するものではありません。