高額医療費控除とは
「高額医療費控除」という名前の制度はなく、健康保険から自己負担の一部が戻る高額療養費と、確定申告で所得から差し引く医療費控除の2つを指す言葉として使われています。2つは両方使えますが、医療費控除の計算では高額療養費で戻った額を医療費から差し引きます。
この金額は2026年10月18日時点のものです。
最終確認日 2026年10月18日
2つの制度の違い
検索で多い「高額医療費控除」は、健康保険の高額療養費と、所得税の医療費控除を合わせたような言葉です。高額療養費は1か月の自己負担が上限を超えた分を保険者が払い戻す給付で、医療費控除は1年の医療費が一定額を超えた分を所得から差し引いて税金を軽くする仕組みです。
協会けんぽ茨城支部も、医療費控除は確定申告で税務署に申告して所得税などが軽くなる制度、高額療養費は健康保険の給付と分けて説明しています。
| 項目 | 高額療養費 | 医療費控除 |
|---|---|---|
| しくみ | 健康保険の給付 | 所得税の所得控除 |
| 決まり | 健康保険法115条 | 所得税法73条 |
| 申請先 | 加入している保険者 | 住所地の税務署(確定申告) |
| 計算の単位 | 暦の月ごと・医療機関ごと | 1月から12月の1年 |
| まとめられる人 | 同じ健康保険の世帯 | 生計を一にする配偶者や親族 |
| 対象 | 保険診療の自己負担 | 自由診療・通院費・治療のための市販薬なども |
| 戻り方 | 自己負担の一部を現金で支給 | 所得税が戻り、翌年度の住民税が軽くなる |
| 期限 | 診療月の翌月1日から2年 | 還付申告は翌年1月1日から5年 |
両方使う順番
先に高額療養費を受け取り(または窓口の支払いを限度額までにして)、その年の医療費が確定してから医療費控除を計算します。医療費控除の計算では、高額療養費で戻った額を補填される金額として、その目的になった医療費から差し引きます。
確定申告のときにまだ高額療養費の額が決まっていなければ、見込額を差し引いて申告し、あとで違えば訂正します。差し引き方の詳しい例は、高額療養費と医療費控除の差し引き方のページにあります。
二重にならない計算の例
給与の年収400万円で、区分ウの人が総医療費60万円の入院をし、窓口で180,000円を払った年の例です。高額療養費は88,940円を超える91,060円が戻り、同じ年にほかの医療費が80,000円あったとします。
医療費控除の計算に入れる医療費は、入院の180,000円から高額療養費を引いた88,940円とほかの医療費80,000円の合計で、10万円を引いた68,940円が控除額です。高額療養費で戻った分をもう一度控除に入れることはないので、同じ支払いで二重に軽くなることはありません。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 入院の窓口負担(区分ウ、総医療費60万円) | 180,000円 |
| 高額療養費(補填される金額) | −91,060円 |
| ほかの医療費 | 80,000円 |
| 医療費控除の額 | 68,940円 |
| 戻る額の目安(所得税+住民税) | 10,422円 |
申請の窓口と時期
高額療養費は、マイナ保険証や限度額適用認定証を使えば窓口の支払いが最初から限度額までになり、あとから払い戻しを受けるときは加入している保険者に申請します。医療費控除は確定申告で受け、還付を受けるための申告は対象の年の翌年1月1日から出せます。
自由診療や通院の交通費は高額療養費の対象になりませんが、医療費控除では対象になるので、2つの制度で対象が違う点も押さえておきます。高額療養費の支給決定の通知が届いたら、医療費控除の明細書で補填される金額の欄に書く額の根拠として保管しておきます。
よくある質問
- 高額療養費が戻れば、医療費控除はいりませんか?
- 高額療養費を引いたあとの医療費と、ほかの医療費(自由診療、通院費、市販薬など)の合計が10万円(総所得金額等が200万円未満ならその5%)を超えれば、医療費控除も使えます。
- 限度額適用認定証やマイナ保険証で、窓口が限度額までだった場合は?
- 窓口で払った額がそのまま医療費で、あとから戻る高額療養費はないので、差し引く額もありません。払った額を医療費控除の明細書に書きます。
- 医療費控除は会社の年末調整で受けられますか?
- 医療費控除は年末調整では受けられず、確定申告で受けます。会社員も、医療費控除の明細書を付けた確定申告書を出します。
出典と計算の前提
最終確認日 2026年10月18日。金額は、このページに書いた決まりで計算した目安です。医療費控除の対象になるか、いくら控除できるかは税務署が判断します。このページは一般的な情報で、個別の判断は住所地の税務署で確かめてください。高額療養費などの給付は、加入している保険者が決めます。