高額療養費と医療費控除の差し引き方
高額療養費で戻った額は、医療費控除の計算で、その給付の目的になった医療費から差し引きます。確定申告のときに支給額が決まっていなければ見込額で差し引き、あとで違えば訂正します。
この金額は2026年10月18日時点のものです。
最終確認日 2026年10月18日
「高額医療費控除」は2つの制度
「高額医療費控除」という名前の制度はなく、健康保険の高額療養費と、所得税の医療費控除の2つが混ざった言い方です。高額療養費は加入している保険者から自己負担の一部が戻る給付、医療費控除は確定申告で1年の医療費を所得から差し引いて税金が軽くなる仕組みです。
2つは両方使えますが、高額療養費で戻った分は医療費控除の計算で医療費から差し引きます。税務署の側から見た2つの違いは、医療費控除のテーマのページで詳しく扱います。
補てん金として差し引く範囲
国税庁は、健康保険法の規定などで受け取った高額療養費は、その給付の目的となった医療費の額を限度として、支払った医療費から差し引くとしています。ある入院の高額療養費は、その入院の医療費からだけ引き、引ききれない額があってもほかの医療費からは引きません。
下の表は、区分ウの人が総医療費100万円の入院で窓口に300,000円を払い、高額療養費が207,060円戻った年に、ほかの医療費が50,000円あった場合です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 入院で窓口に払った額 | 300,000円 |
| 高額療養費(補てんされる金額) | −207,060円 |
| その年のほかの医療費(通院・薬など) | 50,000円 |
| 医療費控除の対象になる医療費 | 142,940円 |
| 差し引く額(総所得金額等200万円以上なら10万円) | −100,000円 |
| 医療費控除の額 | 42,940円 |
支給が翌年になるときの見込額
12月の入院の高額療養費は、支給が翌年の確定申告に間に合わないことがあります。国税庁は、確定申告書を出すときまでに補てんされる金額が確定していない場合は見込額を差し引き、あとで確定した額が違えば遡ってその年分の医療費控除を訂正するとしています。
見込額の目安は、高額療養費の計算ツールで限度額と支給額を出すと得られます。受け取った額が見込額より多いときは修正申告、少ないときは更正の請求で直します。
申請先と計算の順番
協会けんぽ茨城支部も、医療費控除は確定申告で税務署に申告して所得税などが軽くなる制度で、高額療養費は健康保険の給付だと説明しています。申請先は、医療費控除が住所地の税務署、高額療養費が加入している保険者と分かれています。
計算の順番は、先に高額療養費を出し、その額を補てん金として医療費控除の計算に入れます。医療費控除の額は、払った医療費から補てん金を引き、さらに10万円か総所得金額等の5%の少ないほうを引いた額で、上限は200万円です。高額療養費の支給決定通知書は、補てんされる金額を確かめる書類として手元に残しておきます。
よくある質問
- 高額療養費を受け取ったのが翌年なら、どちらの年で差し引きますか?
- 差し引くのは、その高額療養費の目的となった医療費を払った年分です。受け取った年ではなく、医療費を払った年の医療費控除の計算で引きます。
- 限度額適用認定証で窓口が限度額までだった場合は?
- 窓口で払った額がもともと限度額までなので、払った額をそのまま医療費として計算します。あとから戻る高額療養費がない場合は、差し引く額もありません。
- 医療保険の入院給付金も差し引きますか?
- 生命保険などの入院給付金も、その入院の医療費を補てんするものとして同じように差し引きます。高額療養費と入院給付金の両方がある場合は、合計をその入院の医療費の範囲で引きます。
出典と計算の前提
最終確認日 2026年10月18日。金額は、このページに書いた決まりで計算した目安です。合算できるか、いくら支給されるかは加入している保険者(協会けんぽ・健康保険組合・市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療広域連合など)が決めます。このページは一般的な情報で、個別の支給や医療費控除の判断は、加入している保険者と税務署で確かめてください。