高額療養費制度の仕組みと計算
高額療養費は、1か月に医療機関の窓口で払った自己負担が、年齢と所得で決まる上限(自己負担限度額)を超えたときに、超えた分が健康保険から戻る制度です。令和8年8月の診療から上限額が見直され、1年単位の年間上限もできました。
この金額は2026年10月18日時点のものです。
最終確認日 2026年10月18日
自分の場合の限度額と戻る額は、下の計算ツールに年齢・所得区分・総医療費を入れるとすぐに出ます。たとえば70歳未満の区分ウで総医療費100万円の月は、窓口負担300,000円のうち207,060円が戻り、自己負担は92,940円になります。説明つきの計算ツールのページもあります。
| 総医療費(10割) | 1,000,000円 |
|---|---|
| 自己負担(窓口) | 300,000円(総医療費 × 3割) |
| 自己負担限度額 | 85,800円 + (1,000,000円 − 286,000円) × 1% = 92,940円 |
| 高額療養費(支給額) | 207,060円 |
| 多数回該当の限度額 | 44,400円(直近12か月に3回以上支給を受けたとき、4回目から) |
| 年間上限 | 530,000円(8月〜翌年7月、世帯) |
| 外来の年間上限 |
申請先は加入している保険者です(協会けんぽの支部、健康保険組合、市区町村の国民健康保険、後期高齢者医療広域連合)。マイナ保険証を使えば、窓口の支払いは最初から限度額までになります。
年間上限までの残り
| 年間上限までの残り | 530,000円 |
|---|
世帯合算(同じ月)
同じ月の医療機関ごと(入院と外来、医科と歯科は別)の自己負担を1行ずつ入れます。総医療費は上の負担割合で逆算します。
| 人 | 入院・外来 | 自己負担額(円) |
|---|---|---|
| 合算した件数 | 自己負担額を入れると計算します |
|---|---|
| 合算した自己負担 | 自己負担額を入れると計算します |
| 世帯の限度額 | 自己負担額を入れると計算します |
| 世帯の高額療養費 | 自己負担額を入れると計算します |
仕組みは3つの決まりでできている
1つ目は、暦の月(1日から末日)ごとに計算することです。月をまたいだ入院は、月ごとに別々に限度額と比べます。2つ目は、医療機関ごとに計算することで、同じ病院でも入院と外来、医科と歯科は別に数え、院外処方の薬局は処方せんを出した医療機関に合わせます。
3つ目は、同じ健康保険に入っている家族の自己負担を合算できることです。70歳未満の人は1件21,000円以上の自己負担だけが合算の対象になり、70歳以上の人は金額にかかわらず合算します。直近12か月に3回以上支給を受けると、4回目から限度額が下がります。
令和8年8月の診療から月の限度額が見直されるとともに、8月から翌年7月までの1年で自己負担が一定額を超えると、それ以上はかからない年間上限が新しく設けられました。年間上限の分は令和9年8月から申請できます。
窓口で払う割合と、ほかの制度との関係
窓口で払う割合は、70歳未満が3割(義務教育就学前は2割)、70〜74歳が2割(現役並みは3割)、75歳以上が1割(一定以上の所得がある人は2割、現役並みは3割)です。高額療養費の限度額は、この割合で払った額がどこまで重くなったら止まるかを決めるものです。
1年の医療費が多かった年は、確定申告で医療費控除を使えることがあります。高額療養費で戻った額は医療費控除の計算でその医療費から差し引くので、同じ支払いで二重に軽くなることはありません。介護保険のサービスも使っている世帯は、医療と介護の自己負担を1年で合わせる高額介護合算療養費の対象になることがあります。
70歳未満の自己負担限度額(令和8年8月〜)
協会けんぽの令和8年8月〜令和9年7月の表です。総医療費は窓口負担ではなく10割の額で、ア〜ウは総医療費が大きいほど限度額が少しずつ上がります。70歳以上の区分と7月までの額との比較は、限度額の一覧のページにまとめています。
| 区分 | 標準報酬月額(健保) | 旧ただし書き所得(国保) | 月の限度額 | 多数回該当 | 年間上限 |
|---|---|---|---|---|---|
| ア | 83万円以上 | 901万円超 | 270,300円+(総医療費−901,000円)×1% | 140,100円 | 168万円 |
| イ | 53万〜79万円 | 600万〜901万円 | 179,100円+(総医療費−597,000円)×1% | 93,000円 | 111万円 |
| ウ | 28万〜50万円 | 210万〜600万円 | 85,800円+(総医療費−286,000円)×1% | 44,400円 | 53万円 |
| エ | 26万円以下 | 210万円以下 | 61,500円 | 44,400円 | 53万円(41万円の場合あり) |
| オ | 住民税非課税 | 住民税非課税 | 36,900円 | 24,600円 | 29万円 |
このテーマのページ
| ページ | 内容 |
|---|---|
| 高額療養費 計算 | 限度額・支給額・多数回該当・年間上限・世帯合算 |
| 自己負担限度額の一覧 | 令和8年8月からの区分別の上限額、年間上限、令和9年8月の予定 |
| 高額療養費の計算方法 | 10割で考える1%の式、21,000円の合算、月またぎ、多数回該当 |
| 高額療養費の申請方法 | マイナ保険証、限度額適用認定証、あとからの申請と2年の時効 |
| 医療費控除との差し引き | 補てん金として引く範囲、支給が翌年になるときの見込額 |
| 対象にならない費用 | 差額ベッド代、入院中の食事代、先進医療、自由診療 |
| 薬局の支払いと合算 | 院外処方の薬代は処方した医療機関の外来と合わせる |
| 出産と高額療養費 | 正常分娩は対象外、帝王切開は対象、出産育児一時金との関係 |
| 高額介護合算療養費 | 医療と介護の自己負担を1年で合算する制度 |
よくある質問
- 高額療養費は自分で申請しないともらえませんか?
- マイナ保険証や限度額適用認定証を使えば、窓口の支払いが最初から限度額までになるので、あとから申請するのは限度額を超えて払った分や、世帯合算で戻る分です。健康保険組合や市区町村によっては、支給の対象になると案内が届くことがあります。
- 会社の健康保険と国民健康保険で限度額は違いますか?
- 限度額の表は同じで、違うのは所得区分の決め方です。会社の健康保険は標準報酬月額、国民健康保険は世帯の旧ただし書き所得で区分を決めます。健康保険組合は、組合によって独自の付加給付で自己負担がさらに軽くなることがあります。
- 病気やけがで仕事を休んで収入が減ったときは?
- 医療費は高額療養費で上限が決まり、会社の健康保険に入っている人が仕事を休んで給与が出ないときは、傷病手当金が支給される場合があります。どちらも加入している健康保険に申請します。
出典と計算の前提
最終確認日 2026年10月18日。金額は、このページに書いた決まりで計算した目安です。合算できるか、いくら支給されるかは加入している保険者(協会けんぽ・健康保険組合・市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療広域連合など)が決めます。このページは一般的な情報で、個別の支給や医療費控除の判断は、加入している保険者と税務署で確かめてください。