そろばんノート

高額療養費のしくみ

出産と高額療養費

正常分娩は保険診療ではないので高額療養費の対象外ですが、帝王切開や切迫早産の入院のような保険診療の部分は対象です。出産育児一時金50万円は別の給付で、医療費控除では一時金と高額療養費を医療費から差し引きます。

この金額は2026年10月18日時点のものです。

最終確認日 2026年10月18日

正常分娩は対象外、帝王切開は対象

正常な出産は病気の治療ではないため、健康保険の療養の給付の対象ではなく、高額療養費の計算にも入りません。協会けんぽは、帝王切開などによる分娩の場合は健康保険が適用され、保険診療分の医療費が高額になれば高額療養費の対象になるとしています。

たとえば区分ウの人が、帝王切開で保険診療の総医療費が60万円(窓口3割で180,000円)になった月は、限度額88,940円を超える91,060円が戻ります。分娩の費用のうち保険診療ではない部分は、この計算に入りません。

費用健康保険高額療養費医療費控除
正常分娩保険診療ではない対象外対象(出産育児一時金を差し引く)
帝王切開・吸引分娩など保険診療保険診療の部分は対象対象(一時金と高額療養費を差し引く)
切迫早産・妊娠高血圧などの入院保険診療対象対象
定期検診(妊婦健診)多くは保険診療ではない対象外対象
入院中の身の回り品、里帰りの交通費保険の対象外対象外対象外

出産育児一時金50万円との関係

出産育児一時金は、産科医療補償制度に加入している医療機関で在胎週数22週以降に出産した場合、1児につき50万円、それ以外は48.8万円です(2023年4月1日以降の出産)。直接支払制度を使うと協会けんぽから医療機関へ直接支払われ、出産費用が一時金より少なければ差額を申請します。

出産育児一時金は正常分娩でも帝王切開でも支給され、高額療養費とは別の給付です。帝王切開の月は、保険診療の自己負担に高額療養費を使い、分娩全体の費用には一時金を当てる形になります。

医療費控除に回る費用

国税庁は、妊娠と診断されてからの定期検診や検査、通院費用、出産で入院するときに電車やバスが使えずに乗ったタクシー代、病院に払う入院中の食事代は医療費控除の対象とし、実家に帰省する交通費や入院のための身の回り品は対象外としています。出産育児一時金と高額療養費は、医療費控除の計算で医療費から差し引きます。

令和8年5月29日に成立した改正健康保険法(令和8年法律第31号)で、保険診療ではない分娩について国が1件当たりの基本単価を定め、保険者から施設に直接支払って妊婦に負担が生じないようにする仕組みが設けられ、公布から2年以内に政令で定める日に始まります。

双子の出産と月をまたぐ入院

出産育児一時金は1児につき支給されるので、双子の出産なら2人分です。帝王切開の月は、高額療養費の申請と出産育児一時金の手続きが別々になり、どちらも加入している健康保険の給付です。

出産の入院が月末から翌月にかかると、保険診療の部分の高額療養費は月ごとの計算になる点も、ほかの入院と同じです。改正法には、すべての妊婦への定額の現金給付も盛り込まれ、その金額は政令で定めることになっています。

よくある質問

帝王切開になるかわからないとき、限度額適用認定証は必要ですか?
マイナ保険証を使えば、帝王切開になった場合も窓口の支払いは保険診療の分について限度額までになります。マイナ保険証を使わないときは、出産予定の月に合わせて限度額適用認定証を申請しておくと安心です。
切迫早産で長く入院したときは?
入院が数か月に及ぶ場合は、月ごとに限度額と比べ、直近12か月で4回目の月からは多数回該当の低い限度額になります。差額ベッド代や食事代は対象外です。
夫の健康保険の扶養に入っている場合の申請先は?
被扶養者の出産や医療費は、扶養している被保険者が加入する健康保険に申請します。出産育児一時金は家族出産育児一時金として支給されます。

出典と計算の前提

最終確認日 2026年10月18日。金額は、このページに書いた決まりで計算した目安です。合算できるか、いくら支給されるかは加入している保険者(協会けんぽ・健康保険組合・市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療広域連合など)が決めます。このページは一般的な情報で、個別の支給や医療費控除の判断は、加入している保険者と税務署で確かめてください。