小規模宅地等の特例では、被相続人が住んでいた自宅の土地を一定の親族が相続すると、330㎡までの部分の評価額が80%減ります(租税特別措置法69条の4、国税庁 No.4124)。評価額5,000万円、面積200㎡の自宅の土地なら、全体が対象になり評価額は1,000万円まで下がります。
事業に使っていた土地は400㎡まで80%、人に貸していた土地は200㎡まで50%の減額です。どれも相続税の申告書を出すことが条件で、特例を使って税額がゼロになる場合でも申告が必要です。
3つの区分と上限面積
特定居住用宅地等は、被相続人や生計を一にする親族が住んでいた土地で、上限330㎡・減額80%です。特定事業用宅地等は、店舗や工場など貸付以外の事業に使っていた土地で、上限400㎡・減額80%です。貸付事業用宅地等は、アパートや駐車場など貸していた土地で、上限200㎡・減額50%です。
面積が上限を超えるときは、上限までの部分だけが減額されます。自宅の土地が400㎡で評価額6,000万円なら、330㎡分にあたる4,950万円の80%、3,960万円が減額になり、評価額は2,040万円です。
自宅の土地を誰が取得するか
配偶者が取得した場合は、住み続けることも持ち続けることも要件になっていません。取得した時点で特例の対象です。
被相続人と同居していた親族が取得した場合は、相続税の申告期限までその家に住み続け、土地も持ち続けていることが要件です。期限前に売ったり引っ越したりすると対象から外れます。
配偶者も同居の親族もいないときは、持ち家のない親族、いわゆる「家なき子」が取得すれば対象になりえます。要約すると、相続開始前3年以内に自分や配偶者、3親等内の親族などが所有する家に住んだことがなく、相続開始時に住んでいる家を過去に所有したこともないこと、さらに申告期限まで土地を持ち続けることが求められます。
事業用と貸付用の要件
事業用の土地は、被相続人の事業を引き継いだ親族が申告期限まで事業を続け、土地を持ち続けることが要件です。相続開始前3年以内に新たに事業に使い始めた土地は、一定の規模以上の事業を除き対象外です。
貸付用の土地も、申告期限まで貸付を続け、持ち続けることが求められます。相続開始前3年以内に新しく貸し始めた土地は、それ以前から事業的な規模で貸付をしていた場合を除き、対象になりません。
複数の区分を組み合わせるとき
自宅の330㎡と事業用の400㎡は別々に使えるので、合わせて730㎡まで80%減額できます。
貸付用を組み合わせる場合は面積の調整があり、「自宅の面積×200/330+事業用の面積×200/400+貸付用の面積」が200㎡以内に収まる範囲で選びます。1㎡あたりの減額が大きい土地から当てはめるほど減額の合計は大きくなり、どの土地を選ぶかは特例の対象地を取得した人全員の同意で決めます。
申告と遺産分割の条件
特例を受けるには、申告書に第11・11の2表の付表で計算を示し、遺産分割協議書の写しや住民票などを添付します。申告の進め方は相続税の申告の流れにまとめています。
申告期限までに遺産が分割されていない土地には、原則として特例を使えません。分割見込書を出しておき、3年以内に分割が決まれば、更正の請求で特例を受け直せます。減額後の評価額で税額がどう変わるかは、相続税シミュレーターに減額後の額を入れて比べられます。
よくある質問
- 老人ホームに入っていた親の自宅も対象になりますか。
- 要介護認定や要支援認定を受けて老人ホームなどに入所していた場合で、自宅を人に貸していなければ、入所前に住んでいた土地として特例の対象になります。入所後に自宅を貸すと対象から外れます。
- 特例を使うと基礎控除以下になる場合も申告しますか。
- 減額前の評価額で基礎控除を超えるなら申告が必要です。特例は申告書を出して初めて適用されるため、出さなければ減額前の評価額で相続税がかかります。
- 二世帯住宅で同居していた場合はどう扱いますか。
- 建物が区分所有登記されていなければ、二世帯住宅の全体に被相続人と親族が住んでいたものとして、上下や左右で分かれた住まいでも同居と扱われます。区分所有登記されていると、被相続人の住んでいた部分に限られます。
出典
最終確認日 2026年10月15日。法律の条文は e-Gov 法令検索、手続きは各機関のページで確かめています。