そろばんノート

相続の手続きと期限

相続税の申告の流れと必要書類

10か月の間に何をそろえ、どの表に何を書くか。

相続税の申告書は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に、被相続人が亡くなったときの住所地を所轄する税務署へ提出し、同じ期限までに納税します(相続税法27条、国税庁 No.4205)。2026年10月15日に亡くなりその日に知った場合、期限は2027年8月15日ですが、日曜日なので翌日の8月16日になります。

申告書は何枚もの表の組み合わせで、財産の明細から税額まで順に書き移していく作りです。このページでは10か月の進め方、各表の役割、添付する書類、提出の方法、税理士に頼むときの費用感を順に見ていきます。

10か月の進め方

最初の3か月は、相続人の確定と財産・借金の洗い出しに充てるのが通常の順序です。放棄するかどうかの期限が3か月なので(民法915条)、この間に預金の残高証明書や不動産の評価証明書を取り寄せ、債務も含めて全体をつかみます。

4か月目には被相続人の所得税の準確定申告があり、そこで確定した所得税は相続税の計算で債務として差し引けます。その後、遺産分割の話し合いをまとめ、財産の評価をして申告書を作ります。期限の日付は相続の期限一覧で死亡日から出せます。

申告書の各表の役割

中心になるのが第1表で、各人の課税価格と納める税額をまとめる表です。そこへ数字を送るのが、財産の種類ごとの合計を出す第15表と、相続税がかかる財産の合計表である第11表です。令和8年分用の様式からは、どの財産を誰が取得したかを、土地・家屋、有価証券、現金・預貯金などの種類ごとに第11表の付表1から4へ1件ずつ書きます。

差し引くものは第13表に債務と葬式費用を書き、加えるものは第14表に生前贈与で加算する財産を書きます。生命保険金は第9表、死亡退職金は第10表で非課税額を計算し、小規模宅地等の特例は第11・11の2表の付表で減額を計算します。

税額を調整する表として、第4表が2割加算、第5表が配偶者の税額軽減、第6表が未成年者控除と障害者控除、第7表が相次相続控除、第8表が外国税額控除などを受け持ちます。使わない特例の表は出す必要がなく、自分のケースに当てはまる表だけを作ります。

添付する書類

相続人を示す書類として、被相続人の出生から死亡までの戸籍と相続人全員の戸籍、またはその代わりになる法定相続情報一覧図の写しを付けます。遺産を分割した場合は遺産分割協議書の写しと相続人全員の印鑑証明書、遺言があれば遺言書の写しを添付します。

財産の額を裏づける資料として、金融機関の残高証明書、土地や建物の固定資産税評価証明書と登記事項証明書、上場株式の取引残高報告書、保険金の支払通知書などを用意します。相続人のマイナンバーの記載と本人確認書類の写しも求められます(国税庁 相続税の申告のしかた)。

提出と納付の方法

相続税の申告書は2019年10月1日からe-Taxで提出でき、取得した人が10人以上いる場合や電子証明書のない人がいる場合(税理士が代理で送信するときを除く)は使えません。紙で出す場合は税務署の窓口に持参するか郵送します。相続人が複数いても、共同で1通の申告書にまとめて提出できます。

納税は期限までに金銭で一括して納めるのが原則です。一括が難しいときは要件を満たせば分割で納める延納、それも難しいときは財産そのもので納める物納の申請ができ、どちらも申告期限までに申請書を出します。期限を過ぎると、無申告加算税や延滞税がかかります(国税通則法)。

税理士に頼む目安

不動産や非上場株式があって評価が難しいとき、小規模宅地等の特例の要件を確かめる必要があるとき、相続人が多く分割に時間がかかりそうなときは、税理士に依頼する家庭が多くなります。

報酬は自由に決められていて、一般的には遺産総額の0.5%から1%程度といわれます。遺産1億円なら50万円から100万円の幅で、土地の数や相続人の人数で加算される料金表が多く見られます。税額の見当を先につけるには相続税シミュレーターが使えます。

よくある質問

10か月までに遺産分割がまとまらないときはどうしますか。
法定相続分で取得したものとして期限内に申告と納税をします。その際「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておくと、分割がまとまった後の更正の請求で配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を受けられます。
相続人の1人だけ先に申告することはできますか。
できます。申告書は相続人ごとに別々に出すことも認められています。ただし財産の評価額や総額が人によって違うと税務署から確認が入りやすいため、数字は相続人の間でそろえるのが通常です。
申告した後に財産が見つかったらどうなりますか。
税額が増える場合は修正申告をして不足分を納めます。税額が減る誤りに気づいた場合は、申告期限から5年以内であれば更正の請求ができます。

このページは、法律と公的機関の案内にもとづく一般的な説明と計算の目安です。あなたの場合にどうするかの判断は、司法書士・税理士・弁護士、または法務局・税務署・家庭裁判所の相談窓口にご確認ください(司法書士法、税理士法、弁護士法72条)。

出典

最終確認日 2026年10月15日。法律の条文は e-Gov 法令検索、手続きは各機関のページで確かめています。