相続税の税額控除は、各人の算出税額から直接差し引くものです。未成年者控除は10万円×18歳になるまでの年数で、15歳3か月の未成年者なら18歳まで2年9か月、1年未満を切り上げて3年となり、30万円を引けます(相続税法19条の3、国税庁 No.4164)。
ほかに、障害者控除、相次相続控除、贈与税額控除などがあります。控除は、贈与税額控除、配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除、外国税額控除の順に当てはめます(国税庁 No.4152)。
未成年者控除
対象は、相続開始時に18歳未満で、法定相続人にあたる人です。相続放棄をしていても、遺贈や生命保険金で財産を取得していれば、放棄がなかったものとした相続人として対象になります。日本国内に住所があることも要件です。
控除額が本人の相続税額より多いときは、引ききれない額を、同じ相続で財産を取得した扶養義務者の相続税額から差し引けます。例えば子の控除が30万円で子の税額が20万円なら、残りの10万円を親の税額から引くことができます。
過去の相続で未成年者控除を受けたことがある人は、2回目以降の控除額が前回までに控除しきれなかった範囲に限られます。
障害者控除
相続開始時に障害者である法定相続人が対象で、控除額は10万円×85歳になるまでの年数です。特別障害者は1年あたり20万円になります(相続税法19条の4、国税庁 No.4167)。
40歳の一般障害者なら、85歳まで45年なので、10万円×45年で450万円を差し引けます。同じ40歳でも特別障害者なら900万円です。引ききれない額を扶養義務者の税額から引ける点と、1年未満を切り上げる点は未成年者控除と同じです。
相次相続控除
10年以内に2回続けて相続があった場合、2回目の相続の相続人は、1回目の相続で被相続人が納めた相続税の一部を差し引けます(相続税法20条、国税庁 No.4168)。例えば祖父の相続で父が相続税を納め、その8年後に父が亡くなったときがこれにあたります。
控除額は、前回の相続税額をもとに、前回から経過した年数1年につき10%ずつ減らし、今回の取得財産の割合で各人に分ける計算です。8年経っていれば、経過年数で残る割合は10分の2です。対象は相続人に限られ、放棄した人や相続人以外の受遺者は使えません。
贈与税額控除
相続開始前の一定期間に受けた暦年課税の贈与は相続財産に加算されますが、その贈与にすでに贈与税がかかっていれば、同じ額を相続税から差し引きます。同じ財産に二重に税金がかからないようにするためです。
相続時精算課税を選んだ贈与で納めた贈与税も、相続税から差し引けます。こちらは相続税額から引ききれないときに、引ききれない分の還付を受けられる点が暦年課税と異なります。
計算での位置づけ
税額控除は、相続税の総額を各人に割り振り、2割加算をした後に当てはめます。控除の順序で結果が変わる場合があるため、申告書では第4表から第8表で順番に計算します。
税額控除の前の各人の税額は相続税の早見表や相続税シミュレーターで求め、そこから自分に当てはまる控除を引く流れになります。
よくある質問
- 17歳11か月の子の未成年者控除はいくらですか。
- 18歳まで1か月しかありませんが、1年未満は1年に切り上げるので、控除額は10万円です。
- 障害者手帳がないと障害者控除は使えませんか。
- 身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳、療育手帳の交付を受けている人が典型ですが、精神上の障害で事理を弁識する能力を欠く常況にある人や、市区町村長などの認定を受けた人も含まれます。特別障害者かどうかは、手帳の等級などで区分されます。
- 相次相続控除は10年を1日でも過ぎると使えませんか。
- 前回の相続開始から今回の相続開始まで10年を超えていれば対象外です。10年以内であれば、経過年数に応じて控除額が少しずつ小さくなります。
出典
最終確認日 2026年10月15日。法律の条文は e-Gov 法令検索、手続きは各機関のページで確かめています。