退職一時金は、退職のときに一度にまとめて受け取る退職金です。これに対して退職年金(企業年金)は、退職後に何年かに分けて、または一生、年金として受け取るものです。厚生労働省の令和5年就労条件総合調査では、退職給付の制度がある企業のうち「退職一時金制度のみ」が69.0%、「退職年金制度のみ」が9.6%、「両制度併用」が21.4%でした(厚生労働省)。
企業規模で違う制度の形
従業員1,000人以上の企業では両制度併用が47.1%と多く、30人から99人の企業では退職一時金制度のみが77.2%です。退職一時金の準備には、社内で積み立てる方法のほか、中小企業退職金共済(中退共)や特定退職金共済を使う会社も多くあります。
企業年金には、会社が運用して約束した額を支払う確定給付企業年金(DB)と、従業員ごとの口座で運用した結果を受け取る企業型確定拠出年金(DC)があります。どちらも、一時金で受け取るか年金で受け取るかを選べる場合があります。
税金の扱いの違い
一時金で受け取ると退職所得になり、勤続年数に応じた退職所得控除を引いた残りの2分の1に税金がかかります。年金で受け取ると公的年金等の雑所得になり、公的年金等控除を引いた残りが、ほかの所得と合わせて毎年課税されます。年金で受け取る額は国民健康保険料や介護保険料の計算にも入ります。
一時金は控除が大きく税金が軽くなりやすい一方、年金は受け取る期間の運用が続く場合があり、毎年の収入として使いやすい面があります。どちらが向くかは、退職金の額と勤続年数、ほかの年金や収入、保険料への影響で変わるため、この表の数字だけで決めずに、それぞれの控除で計算して比べる考え方が大切です。
比べるときの考え方
一時金の税金は計算ツールで、年金で受け取ったときの税金と保険料の差し引きは年金の手取りのページで計算できます。一部を一時金、残りを年金と分けて受け取れる制度もあります。確定拠出年金の一時金と会社の退職金を別の年に受け取る場合は、受け取る順番と間隔で退職所得控除の調整が変わります。
よくある質問
- 退職一時金と退職金は同じものですか?
- 一般的には、退職のときに一度に受け取る退職金を退職一時金と呼びます。
- 年金で受け取ると税金はかかりませんか?
- 公的年金等の雑所得として、毎年所得税と住民税の対象になります。
社会保険料への影響
退職一時金は退職所得として分けて課税されるため、国民健康保険料や介護保険料、後期高齢者医療保険料の計算のもとになる所得には入りません。年金で受け取る企業年金は雑所得として保険料の計算に入る点が、受け取り方を比べるときのもう1つの違いです。
一時金と年金の受け取り方の例
企業年金を年金で受け取る場合は、5年、10年、15年、20年などの有期年金や、一生受け取る終身年金から選べる制度があります。有期年金の途中で一時金に切り替えられる制度もあります。受け取り方の選択肢と、それぞれの年金額は、企業年金の規約や会社から届く案内で確かめます。
年金で受け取る場合は、受け取る年ごとに公的年金と合わせて公的年金等控除が使われます。公的年金と企業年金の合計によっては、確定申告が必要になる場合があります。
計算の前提と出典
最終確認日 2026年10月14日。ここに出る金額は、公表されている計算式と調査の数字で出した目安です。実際の退職金の額と支払時期は会社の就業規則(退職金規程)が、税金は勤務先と税務署の計算が決めます。このページは、どなたかが受け取れるかどうかや金額を判断するものではありません。