一時所得は、懸賞の賞金や競馬の払戻金、保険の満期金のように、仕事や資産の売り買いの対価ではない一時のもうけです(所得税法第34条)。一時所得の金額は「収入 − その収入を得るために使ったお金 − 特別控除(最高50万円)」で出し、その2分の1を給与などと合わせて税金を計算します。
たとえば給与450万円の人が満期保険金300万円(払い込んだ保険料240万円)を受け取ると、一時所得の金額は100,000円、課税されるのはその半分の50,000円で、所得税は2,553円、住民税は5,000円増えます。
一時所得のページ
- 一時所得の計算ツール給与と合わせて増える税金と申告の要否
- 満期保険金・解約返戻金の税金一時所得・贈与税・相続税の分かれ方
- 宝くじ・懸賞・ポイントの税金宝くじとtotoは非課税
- 競馬・パチンコの税金引けるのは当たり券の代金
一時所得になるもの
国税庁のタックスアンサー No.1490は、懸賞や福引の賞金品、競馬や競輪の払戻金、生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金、法人から贈られた金品、落とし物を届けた人が受け取る報労金などを例に挙げています。いずれも、仕事として続けて得るものや、仕事に関して受け取るものは除かれます。
所得税基本通達34-1は、このほかに、売買の契約が解除されたときに受け取る手付金や、借家人が受け取る立退料の一部なども一時所得としています。
一時所得にならないもの
宝くじの当せん金とtotoの払戻金は、法律で所得税がかからないとされています(当せん金付証票法第13条、スポーツ振興投票法第16条)。個人から贈られたお金は一時所得ではなく贈与税の対象で、会社など法人から贈られた場合が一時所得になります(No.4402)。
会社を辞めるときの退職一時金は退職所得で、一時所得とは計算のしかたが違います(退職金を一時金で受け取るとき)。ふるさと納税の返礼品は一時所得で、返礼品は一時所得に考え方をまとめています。
計算のしかた
1年間に受け取った一時所得は、種類が違ってもまとめて計算し、特別控除の50万円は1年に1回だけ差し引きます。差し引ける支出は、その収入を生じた行為のために、またはその収入の原因が生じたことに伴って直接使った金額に限られます(所得税法第34条第2項)。
収入150万円、支出20万円の例では、次のように計算します。差し引いた額が50万円以下なら、一時所得は0円です。
| 計算の段階 | 金額 | 根拠 |
|---|---|---|
| 収入の合計 | 1,500,000円 | その年の一時所得の収入をすべて足す |
| 支出の合計 | 200,000円 | 収入を得るために直接使った金額だけ |
| 差し引き | 1,300,000円 | |
| 特別控除 | 500,000円 | 最高50万円(所得税法第34条第3項) |
| 一時所得の金額 | 800,000円 | |
| 総所得金額に加える額 | 400,000円 | 一時所得の金額の2分の1(同法第22条第2項第2号) |
確定申告がいる金額
会社員で給与を1か所から受け、年末調整を受けている人は、給与以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告をしなくてよいとされています(No.1900)。一時所得だけがある場合は、一時所得の金額を2分の1にした額が20万円を超えるかどうかで判断します(No.1903)。
国税庁のNo.1490 Q&Aは、ほかの一時所得との合計が90万円を超えない限り確定申告はいらないと説明しています。これは収入から支出を引いた額で、特別控除の50万円と2分の1を当てはめると20万円になる線です。給与が2,000万円を超える人や、ほかの所得もある人は、この線とは別に判断します。
住民税の申告
住民税には、所得税のような20万円以下の申告をしなくてよい扱いがなく、原則としてすべての所得を申告します(名古屋市)。そのため、収入から支出を引いた額が50万円を超えて90万円以下のときは、所得税の確定申告はいらなくても、住民税の申告を市区町村にします。確定申告をすれば、住民税の申告は別にいりません。
源泉分離課税で終わるもの
一時払の養老保険や損害保険で保険期間が5年以下のもの、または5年以内に解約したものの差益や、懸賞金付きの預貯金の懸賞金は、20.315%の源泉分離課税で課税が終わり、一時所得には入らず確定申告もできません(No.1490、No.1520)。
立退料
借家人が家屋の立退きのときに受け取る立退料は、原則として一時所得です。ただし、立退きで休業する間の収入の減少や従業員の給料などを補う部分は事業所得などの収入になり、借家権の対価に当たる部分は譲渡所得になります(所得税基本通達34-1(7))。どの部分がどれに当たるかは、受け取った立退料の中身で決まります。
よくある質問
- 一時所得は50万円まで税金がかかりませんか?
- 収入から支出を引いた額が50万円以下なら、一時所得の金額は0円です。超えた分の2分の1が、給与などと合わせて課税されます。
- 一時所得の税率は?
- 一時所得だけの税率はありません。2分の1にした額を給与などに足し、その合計に所得税の税率と住民税の10%がかかります。
- 一時所得が赤字のときは?
- 一時所得の中では収入と支出をまとめて計算しますが、ほかの所得と差し引きできる損失は不動産・事業・山林・譲渡の4つの所得に限られるため(所得税法第69条)、一時所得の赤字を給与から差し引くことはできません。
出典と前提
最終確認日 2026年11月2日。一時所得の説明と計算は一般的な目安です。実際の税額と申告の要否は、その年の所得の内容と控除、勤務先の年末調整の状況で変わります。
- 所得税法(e-Gov法令検索)第22条・第34条・第121条
- 国税庁 No.1490 一時所得
- 国税庁 No.1490 一時所得 Q&A(マイナポイント、90万円の目安)
- 国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
- 国税庁 No.1903 給与所得者に生命保険の満期返戻金などの一時所得があった場合
- 国税庁 所得税基本通達 法第34条《一時所得》関係(34-1)
- 当せん金付証票法(e-Gov法令検索)第13条
- スポーツ振興投票の実施等に関する法律(e-Gov法令検索)第16条
- 国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
- 国税庁 No.1520 金融類似商品と税金
- 名古屋市「給与所得者で副収入がある場合、市民税・県民税の申告は?」(更新日 2026年1月13日)