予防接種・人間ドック・健康診断の医療費控除
予防接種、人間ドック、健康診断の費用は、病気の治療ではないため原則として医療費控除の対象外です。ただし人間ドックや健康診断で重大な病気が見つかり、引き続きその治療を受けた場合は、その健診の費用も対象になります。
この内容は2026年10月28日時点のものです。
最終確認日 2026年10月28日
医療費控除は、病気やけがを治すために払ったお金のための制度です。所得税基本通達73-4は、人間ドックその他の健康診断の費用を医療費に当たらないものとしたうえで、健康診断で重大な疾病が発見され、その診断に引き続いて治療をした場合には、健診の費用も医療費に含めるとしています(質疑応答事例「人間ドックの費用」)。
| 費用 | 医療費控除 | 根拠 |
|---|---|---|
| 人間ドック・健康診断(異常が見つからなかった) | 対象外 | 所得税基本通達 |
| 人間ドックで重大な病気が見つかり、引き続き治療した | 健診の費用も対象 | 国税庁 質疑応答事例 |
| 特定健康診査(いわゆるメタボ健診) | 原則対象外 | 国税庁 No.1122 Q&A |
| 特定健診で基準に当たり、引き続き特定保健指導を受けた | 健診の自己負担も対象 | 国税庁 No.1122 Q&A |
| インフルエンザなど任意の予防接種 | 対象外 | 国税庁 質疑応答事例 |
| B型肝炎の患者と同居する親族のワクチン接種 | 対象 | 国税庁 質疑応答事例 |
| 自分の判断で受けたPCR検査 | 対象外 | 国税庁 No.1122 Q&A |
「重大な疾病」と「引き続き治療」
例外に当たるには、2つの条件がそろう必要があります。1つは健康診断の結果として重大な疾病が見つかったこと、もう1つはその診断に続いて実際に治療を始めたことです。再検査で異常がなかったときや、指摘を受けても治療をしなかったときは、健診の費用は対象になりません。
条件を満たしたときに対象になるのは、その病気が見つかった健診の費用です。そのあと治療とは関係なく定期的に受ける健診は、一般的には元の扱いに戻り、対象外と考えられます。
予防接種
予防接種は病気を予防するためのものなので、医療費控除の対象になりません。国税庁の質疑応答事例は、海外旅行の前に受ける予防接種の費用を例に挙げて、疾病の予防のための費用は対象外としています。インフルエンザなどの任意の予防接種も同じ考え方です(質疑応答事例「B型肝炎ワクチンの接種費用」)。
同じ事例は例外として、B型肝炎の患者と同居している親族が受けるB型肝炎ワクチンの接種費用は対象になるとしています。対象になるのはこの事例で示された場合で、予防接種一般が対象になるわけではありません。
セルフメディケーション税制では「一定の取組」
健診や予防接種の費用は医療費控除の対象外ですが、市販薬のセルフメディケーション税制では、申告する本人がその年に健診や予防接種などの「一定の取組」をしていることが条件になります。人間ドック、勤務先の定期健康診断、インフルエンザの予防接種、市区町村のがん検診などがその例です(国税庁 No.1129)。取組にかかった費用そのものは、セルフメディケーション税制の控除額にも入りません。選び方は市販薬・薬代の医療費控除で説明しています。
明細書の書き方
例外に当たる健診の費用は、明細書の医療費の区分を「診療・治療」にして、治療を受けた医療機関の費用と同じように書きます。健診の結果と、その後の治療の領収書をあわせて保管しておくと、続けて治療したことを示せます。
治療に進んだ年は、健診の費用と治療費を合わせた額で計算します。たとえば給与の年収500万円で、その年に払った医療費が25万円なら、控除額は150,000円、戻る額の目安は所得税と住民税を合わせて22,657円です(医療費控除の計算ツールと同じ計算、単身・給与のみ・東京都・40歳未満の社会保険料)。
よくある質問
- 会社の健康診断の自己負担は対象ですか?
- 勤務先の定期健康診断も健康診断なので、原則として対象外です。重大な病気が見つかり、そのまま治療を受けた場合に限り、自分で負担した健診の費用が対象になります。
- インフルエンザにかかって受けた診察は対象ですか?
- かかった病気を治すための診察と薬なので、医療費控除の対象です。対象外になるのは、かかる前に予防のために受ける予防接種の費用です。
出典と前提
最終確認日 2026年10月28日。このページは、国税庁の説明と法令にもとづく一般的な説明で、個別の事情を判断するものではありません。自分の支出が対象になるかどうかは、住所地の税務署(電話相談センター)で確かめられます。