自費診療(自由診療・保険適用外)の医療費控除
健康保険が使えない自費診療(自由診療)でも、医師や歯科医師による診療・治療の対価で、その病状に応じて一般的に支出される水準のものなら医療費控除の対象です。容姿を美化するための施術や健康診断は、保険がきくかどうかに関係なく対象外です。
この内容は2026年10月28日時点のものです。
最終確認日 2026年10月28日
医療費控除で問われるのは、健康保険の対象かどうかではなく、何のために払ったお金かです。所得税法施行令第207条は、医師または歯科医師による診療や治療の対価を医療費に挙げ、その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分を対象にしています(国税庁 No.1122)。保険診療の窓口負担も、保険のきかない自費の分も、同じ物差しで判断します。
| 費用 | 医療費控除 | 根拠 |
|---|---|---|
| 医師が治療として行う保険適用外の診療 | 対象(一般的な水準まで) | 国税庁 No.1122 |
| 視力を回復させるレーシック手術 | 対象 | 国税庁 No.1122 Q&A |
| オルソケラトロジー(角膜矯正療法) | 対象 | 国税庁 質疑応答事例 |
| 先発医薬品を選んだときの特別の料金 | 対象 | 国税庁 No.1122 Q&A |
| 治療として行う歯のインプラント | 対象(一般的な水準まで) | 国税庁 No.1128 |
| ホクロの除去など、容姿を美化し容ぼうを変えるための費用 | 対象外 | 国税庁 質疑応答事例 |
| 容ぼうを美化するための歯列矯正 | 対象外 | 国税庁 No.1128 |
| 人間ドックなどの健康診断 | 原則対象外 | 所得税基本通達 |
| 医師や看護師へのお礼 | 対象外 | 国税庁 No.1126 |
「一般的な水準」の考え方
保険がきかない治療は、同じ目的でも医療機関ごとに料金の幅が大きくなります。国税庁が対象とするのは病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分で、治療として選ばれる標準的な方法と料金であれば、自費であることだけを理由に外されることはありません。治療に必要な範囲を超えた特別な内容や、ほかの目的のための上乗せ部分は、対象から外れることがあります。
歯の治療では、金やポーセレンのように治療の材料として一般に使われているものは対象になると、国税庁が具体例で示しています(国税庁 No.1128)。インプラントと矯正の細かい扱いは、それぞれインプラントの医療費控除と歯列矯正の医療費控除のページで説明しています。
治療か、容姿のためか
所得税基本通達73-4は、容姿を美化し、または容ぼうを変えるなどのための費用は医療費に当たらないとしています。国税庁の質疑応答事例では、ホクロの除去費用がこの理由で対象外とされています。同じような施術でも、医師が病気の治療として行ったかどうかで扱いが分かれるため、領収書とあわせて診療の内容がわかる書類を残しておくと説明しやすくなります。
健康診断や人間ドックも保険がきかない点は自費診療と同じですが、治療ではないので原則として対象外です。病気が見つかって治療に進んだときの例外は、予防接種・人間ドック・健康診断のページで扱っています。
明細書の書き方と領収書
自費診療の費用は、医療費控除の明細書で医療費の区分を「診療・治療」にして書きます。マイナポータル連携や健康保険の医療費通知で取り込めるのは保険診療の分なので、自費の分は明細書メーカーや国税庁の医療費集計フォームで足します。先発医薬品を選んだときの特別の料金も、マイナポータルの医療費通知情報には含まれないと国税庁のQ&Aは案内しています。
領収書は申告書に付けずに手元で保管し、税務署から求められたら見せられるようにしておきます。医療機関の明細に治療の名目が書かれていれば、それがそのまま控えになります。
いくら戻るか
自費の治療費が大きい年は、保険診療の分と合わせた1年分で計算します。たとえば給与の年収400万円で、その年に払った医療費が40万円なら、控除額は300,000円、戻る額の目安は所得税と住民税を合わせて45,315円です(医療費控除の計算ツールと同じ計算、単身・給与のみ・東京都・40歳未満の社会保険料)。
よくある質問
- 自由診療だけを扱う医療機関の費用も対象ですか?
- 対象かどうかは保険がきくかではなく、医師の診療や治療の対価かどうかで決まります。治療のための費用で一般的な水準のものなら、自由診療だけの医療機関に払った分でも医療費控除に入れられます。
- 保険のきかない検査の費用はどうなりますか?
- 国税庁のQ&Aは、自分の判断で受けたPCR検査の費用は対象外とし、陽性とわかって引き続き治療を受けた場合は対象としています。検査の目的と、その後に治療へ進んだかどうかで扱いが変わります。
出典と前提
最終確認日 2026年10月28日。このページは、国税庁の説明と法令にもとづく一般的な説明で、個別の事情を判断するものではありません。自分の支出が対象になるかどうかは、住所地の税務署(電話相談センター)で確かめられます。