そろばんノート

住民税のしくみと計算

住民税の計算方法

住民税は、所得 → 所得控除 → 課税所得 × 10% → 調整控除と税額控除 → 均等割、の順に計算します。年収300万円・500万円・700万円の例で、1段ずつ金額を出します。

この内容は2026年10月31日時点のもので、令和8年度分(2025年の所得)の住民税を説明しています。

最終確認日 2026年10月31日

住民税は、前の年の所得から所得控除を引いた課税所得に10%をかけ、調整控除と税額控除を引いて、均等割を足して計算します。ここでは、その順番を1段ずつ説明し、年収300万円、500万円、700万円の独身の会社員について、令和8年度分の金額を最後まで計算します。

3つの例の結果は、年収300万円で115,600円、500万円で243,000円、700万円で375,500円です。社会保険料は東京都の協会けんぽ(40歳未満)と厚生年金、雇用保険の料率で出した目安を使っています。

1. 所得を出す

住民税の計算は、収入ではなく所得から始まります。給与の場合は、給与収入から給与所得控除を引いた額が給与所得です。令和8年度分(2025年の給与)では、給与所得控除は最低65万円で、年収190万円以上は収入に応じた割合で計算します(例: 横浜市の給与所得の計算)。年金は公的年金等控除を引き、事業や副業は収入から必要経費を引いた額が所得です。

所得が複数あるときは合計します。この合計所得は、扶養や配偶者控除の対象になるか、非課税になるかの判定にも使われます。

2. 所得控除を引いて課税所得を出す

合計所得から、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、基礎控除、配偶者控除、扶養控除などを引きます。住民税の控除額は所得税より少なく、基礎控除は43万円、配偶者控除と一般の扶養控除は33万円、生命保険料控除は3区分の合計で7万円までです(地方税法 第314条の2)。社会保険料と医療費控除、iDeCoの掛金は所得税と同じ額を引きます。

引いた残りが課税所得(課税標準)で、1,000円未満は切り捨てます(地方税法 第20条の4の2)。

3. 所得割の税率をかける

課税所得に、市区町村民税6%と道府県民税4%をそれぞれかけます。政令指定都市に住んでいる人は、2018年度から市民税8%、道府県民税2%で、合計の10%は同じです(地方税法 第314条の3、第35条)。所得税のように所得が多いほど税率が上がるしくみはなく、所得割の税率は誰でも10%です。

4. 調整控除と税額控除を引く

調整控除は、所得税と住民税の人的控除(基礎控除、配偶者控除、扶養控除など)の差によって住民税が重くならないように設けられたものです。課税所得が200万円以下の人は「人的控除の差」と課税所得の少ない方の5%、200万円を超える人は「人的控除の差 −(課税所得 − 200万円)」の5%で、最低でも2,500円です(地方税法 第314条の6)。独身で基礎控除だけの人は、人的控除の差が5万円なので、調整控除は2,500円になります。

そのあと、住宅ローン控除のうち所得税から引ききれなかった分、ふるさと納税などの寄附金税額控除、配当控除を引きます。最後に市区町村分と道府県分をそれぞれ100円未満で切り捨てたものが所得割です。ふるさと納税の控除の計算はふるさと納税の控除上限で扱っています。

5. 均等割を足す

所得割に、均等割(標準は市区町村民税3,000円、道府県民税1,000円)と、令和6年度から一緒に集められている国の森林環境税1,000円を足すと、1年分の住民税です(森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律 第5条・第7条)。均等割は、平成26年度から令和5年度までは東日本大震災の復興のための500円ずつの上乗せがあり、合計5,000円でした(地方税の臨時特例に関する法律 第2条)。森林や水源を守るための独自の上乗せをしている都道府県や市もあります。

年収300万円の計算例

年収300万円の給与所得は2,020,000円です。社会保険料457,728円と基礎控除43万円を引いた課税所得は1,132,000円で、10%をかけて調整控除2,500円を引くと所得割は110,600円です。均等割と森林環境税を足して、年115,600円になります。

段階計算金額
1. 給与所得給与収入3,000,000円 − 給与所得控除980,000円2,020,000円
2. 所得控除社会保険料457,728円 + 基礎控除430,000円887,728円
3. 課税所得1 − 2(1,000円未満切り捨て)1,132,000円
4. 所得割の算出税額課税所得 × 6%(市区町村)67,920円、× 4%(道府県)45,280円113,200円
5. 調整控除人的控除の差50,000円から 50,000円 × 5%2,500円
6. 所得割4 − 5(市区町村分と道府県分をそれぞれ100円未満切り捨て)110,600円
7. 均等割と森林環境税3,000円 + 1,000円 + 1,000円5,000円
8. 年税額6 + 7115,600円
9. 給与から引かれる額7月から翌年5月は 8 ÷ 12(100円未満切り捨て)、残りが6月6月 10,000円、7月から 9,600円

年収500万円の計算例

年収500万円では、給与所得3,560,000円から社会保険料723,132円と基礎控除を引いた課税所得が2,406,000円、所得割が238,000円、年税額は243,000円です。同じ年収で配偶者(収入なし)と16歳から18歳の子が1人いると、配偶者控除と扶養控除の66万円が引かれ、年税額は172,000円になります。

段階計算金額
1. 給与所得給与収入5,000,000円 − 給与所得控除1,440,000円3,560,000円
2. 所得控除社会保険料723,132円 + 基礎控除430,000円1,153,132円
3. 課税所得1 − 2(1,000円未満切り捨て)2,406,000円
4. 所得割の算出税額課税所得 × 6%(市区町村)144,360円、× 4%(道府県)96,240円240,600円
5. 調整控除人的控除の差50,000円から 50,000円 × 5%2,500円
6. 所得割4 − 5(市区町村分と道府県分をそれぞれ100円未満切り捨て)238,000円
7. 均等割と森林環境税3,000円 + 1,000円 + 1,000円5,000円
8. 年税額6 + 7243,000円
9. 給与から引かれる額7月から翌年5月は 8 ÷ 12(100円未満切り捨て)、残りが6月6月 20,800円、7月から 20,200円

年収700万円の計算例

年収700万円では、給与所得5,200,000円、課税所得3,730,000円、所得割370,500円で、年税額は375,500円です。毎月の天引きは7月から31,200円、6月が32,300円です。

段階計算金額
1. 給与所得給与収入7,000,000円 − 給与所得控除1,800,000円5,200,000円
2. 所得控除社会保険料1,039,644円 + 基礎控除430,000円1,469,644円
3. 課税所得1 − 2(1,000円未満切り捨て)3,730,000円
4. 所得割の算出税額課税所得 × 6%(市区町村)223,800円、× 4%(道府県)149,200円373,000円
5. 調整控除人的控除の差50,000円から 50,000円 × 5%2,500円
6. 所得割4 − 5(市区町村分と道府県分をそれぞれ100円未満切り捨て)370,500円
7. 均等割と森林環境税3,000円 + 1,000円 + 1,000円5,000円
8. 年税額6 + 7375,500円
9. 給与から引かれる額7月から翌年5月は 8 ÷ 12(100円未満切り捨て)、残りが6月6月 32,300円、7月から 31,200円

自治体の計算例と照らし合わせる

この計算の順番は、市区町村が公開している計算例と同じです。たとえば練馬区の令和8年度の計算例(年収800万円、配偶者、特定扶養親族、同居老親、特定親族のいる世帯)を、このサイトの計算に入れると、課税所得3,313,000円、調整控除2,500円まで一致します(例: 練馬区 住民税の計算例)。ほかの家族構成や控除は住民税の計算シミュレーションで計算できます。

自分の住民税の額についての質問は、住民税を決めている市区町村の住民税の担当課(税務課など)が窓口です。住民税は税務署ではなく市区町村が計算します。

よくある質問

住民税は所得税と同じ控除額ですか?
社会保険料控除、医療費控除、小規模企業共済等掛金控除は同じですが、基礎控除、配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除などは住民税の方が少なくなっています。この差を調整するのが調整控除です。
1年目と2年目で住民税が違うのはなぜですか?
住民税は前の年の1年分の所得にかかるため、働き始めた年の翌年度は、その年の途中からの給与にだけかかります。2年目の6月からの税額は1年目の4月から12月の分、3年目からは1年分の給与にかかります。

出典と前提

最終確認日 2026年10月31日。このページは、地方税法と総務省、市区町村の公表内容にもとづく一般的な説明と計算の道具です。住民税は住んでいる市区町村が決める税金で、自分の税額についての問い合わせ先は税務署ではなく、市区町村の住民税の担当課(税務課など)です。金額は標準税率で計算した目安で、超過課税のある自治体や、ここで扱っていない所得・控除がある人は実際の税額と違います。