そろばんノート

相続の手続きと期限

贈与税の基本

110万円の線、2つの税率、2つの課税方式をまとめました。

贈与税は、個人から財産をもらった人(受贈者)が納める税金です。1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計が110万円以下なら贈与税はかからず、110万円を超えると、超えた部分に10%から55%の税率をかけます(国税庁 No.4402)。110万円の枠はもらう人ごとに1つなので、父と母の両方から同じ年にもらった場合は、2人分を合計してから110万円を引きます。

税率には、父母や祖父母から18歳以上の子や孫がもらう場合の特例税率と、それ以外の一般税率の2種類があります。また、一定の親子間では、暦年課税の代わりに相続時精算課税を選ぶこともできます。このページは贈与税の各ページの入口として、仕組みの全体と、どのページで何を確かめられるかをまとめています。

贈与税がかかる財産・かからない財産

対象になるのは、現金や預金の振込だけではありません。土地や建物の名義を無償で移したとき、時価より著しく低い価格で売ったときの差額、親が子の借金を肩代わりして返したときなども、贈与があったものとして扱われます。生命保険の保険料を負担していない人が満期金を受け取った場合も同じです。

一方で、扶養義務者から生活費や教育費として必要な都度もらい、そのまま支払いに充てたお金は非課税です(国税庁 No.4405)。ただし、数年分の学費をまとめて受け取って預金に回したような場合は、この扱いになりません。社交上の常識の範囲内の香典やお祝いも課税されません。

特例税率と一般税率の分かれ目

特例税率は、贈与者が受贈者の直系尊属(父母・祖父母)で、受贈者がその年の1月1日に18歳以上である場合に使います。兄弟姉妹の間、夫婦の間、叔父から甥への贈与、17歳以下の子への贈与は一般税率です(国税庁 No.4408)。

同じ1,000万円でも、特例税率なら177万円、一般税率なら231万円になり、差は54万円です。金額と関係を入れて税額を出すには贈与税の計算、100万円刻みの一覧は贈与税の早見表で確認できます。

暦年課税と相続時精算課税

何も届け出なければ、贈与は暦年課税で計算されます。60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与であれば、届出をして相続時精算課税に切り替えられます。精算課税では累計2,500万円の特別控除があり、超えた分には一律20%がかかります。2024年1月1日以後は、別に年110万円の基礎控除もあります(国税庁 No.4103)。

精算課税で受けた贈与は、贈与者が亡くなったときに相続財産へ足し戻して相続税を計算します。一度選ぶとその贈与者からの贈与は暦年課税に戻れないため、仕組みと注意点は相続時精算課税のページにまとめました。

非課税になる特例

父母や祖父母から住宅の新築や購入の資金をもらった場合、省エネ等住宅は1,000万円、それ以外の住宅は500万円まで非課税です。対象は2026年(令和8年)12月31日までの贈与が対象です(2026年10月時点の法令)で、受贈者は18歳以上、合計所得2,000万円以下などの条件があり、税額が0円でも申告が要件です(国税庁 No.4508)。

金融機関を通じた教育資金の一括贈与は1,500万円まで(No.4510)、結婚・子育て資金の一括贈与は1,000万円まで(No.4511)非課税になります。ただし教育資金の方は2026年3月31日の拠出分で新規の受付が終わっており、結婚・子育て資金は2027年3月31日の拠出分までが対象です。婚姻期間20年以上の夫婦間で自宅やその購入資金を贈与したときは、配偶者控除2,000万円と基礎控除110万円を合わせて2,110万円まで課税されません(No.4452)。

申告と、相続とのつながり

110万円を超える贈与を受けた人は、翌年2月1日から3月15日までに、自分の住所地の税務署へ申告して納めます。非課税の特例を使う人や精算課税を選んだ人は、税額がなくても申告が要ります。期限や書き方は贈与税の申告、あげた証拠を残す書面は贈与契約書の書き方のページです。

暦年課税の贈与でも、贈与者が亡くなる前の一定期間に受けたものは、相続や遺贈で財産を取得した人について相続財産に加算されます(No.4161)。加算の期間と、亡くなる前の贈与で気をつける点は生前贈与と相続税で扱っています。

よくある質問

110万円は、あげる人1人ごとの枠ですか。
もらう人1人ごとの枠です。祖父から80万円、祖母から80万円を同じ年にもらった孫は、合計160万円から110万円を引いた50万円に贈与税がかかります。逆に、父が子3人に100万円ずつ渡した場合は、どの子も110万円以下なので贈与税はかかりません。
夫婦や親子で生活費を出し合うのも贈与ですか。
夫婦や親子は互いに扶養義務があるため、日々の生活費や子の学費をその都度負担するのは贈与税の対象になりません。生活費の名目で受け取っても、使わずに貯めたり株や不動産の購入に回したりした分は贈与として扱われます。
贈与税と相続税は、どちらが重いのですか。
同じ金額なら、税率の区分は贈与税の方が細かく、少ない金額から高い率がかかります。一方で、相続税には3,000万円+600万円×法定相続人の数の基礎控除があります(基礎控除のページ)。遺産全体の相続税は相続税シミュレーターで試算できます。

このページは、法律と公的機関の案内にもとづく一般的な説明と計算の目安です。あなたの場合にどうするかの判断は、司法書士・税理士・弁護士、または法務局・税務署・家庭裁判所の相談窓口にご確認ください(司法書士法、税理士法、弁護士法72条)。

出典

最終確認日 2026年10月15日。法律の条文は e-Gov 法令検索、手続きは各機関のページで確かめています。