エンディングノートと遺言書の違い
遺言書は民法の方式に従って作る書類で、財産を誰に渡すかを決める効力がありますが、エンディングノートにはその効力がありません。財産の分け方は遺言書で決め、連絡先や契約、医療や葬儀の希望はエンディングノートに書くと、2つが役割を分け合えます。
最終確認日 2026年10月18日
違いは法律上の効力
民法は、遺言は民法に定める方式に従わなければすることができないと定めています(960条)。普通の方式は自筆証書、公正証書、秘密証書の3つで(967条)、この方式で作った遺言書は、財産を誰に渡すかを決める効力をもちます。
エンディングノートはこの方式によらないので、ノートに財産の分け方を書いても遺言にはなりません。家族が話し合うときの参考にはなりますが、相続人どうしで意見が分かれたときに、ノートの記載だけで分け方が決まることはありません。
| 項目 | 遺言書 | エンディングノート |
|---|---|---|
| 法律上の効力 | あり(財産を誰に渡すかを決められる) | なし |
| 作り方 | 民法の方式(自筆証書・公正証書・秘密証書)に従う | 決まりはなく、自由に書ける |
| 主に書くこと | 財産の分け方、遺言執行者、認知など | 連絡先、契約、デジタル、医療・介護や葬儀の希望、メッセージ |
| 本人が亡くなったあと | 自筆証書(法務局に保管したものを除く)と秘密証書は家庭裁判所の検認を受ける | 手続きはなく、家族がそのまま読む |
| 費用 | 公正証書は公証人の手数料、法務局の保管は1通3,900円 | テンプレートを使えばかからない |
| 書き直し | 方式に従って作り直す | いつでも書き足せる |
遺言書で決めること(民法の方式)
自筆証書遺言は、遺言者が全文、日付、氏名を自分で書いて印を押します(968条)。添える財産目録だけはパソコンで作ったものや通帳の写しでもよく、その場合は目録の各ページに署名と押印をします。公正証書遺言は、公証役場で証人2人の立会いのもと、遺言者が口述した内容を公証人が書面にする方式で、原本は公証役場に保管されます。
自筆証書遺言は法務局に預けることができ、預けると保管番号の書かれた保管証が交付されます。法務局に保管された遺言書と公正証書遺言は、家庭裁判所の検認が要りません(1004条、遺言書保管法)。遺言の種類ごとの作り方と検認は、遺言書の種類と検認で詳しく説明しています。
法務局に預ける手数料は遺言書1通につき3,900円です。遺言者が亡くなったあとは、相続人などが遺言書情報証明書(1通1,400円)を請求して内容を確かめられます。預けたときに受け取る保管証は再発行されないので、なくさないよう、ノートにその置き場所を書いておきます。
両方を用意する順番
遺言書を作る前にエンディングノートを書いておくと、財産と家族の全体が見えるので、遺言書に何を書くかを決めやすくなります。遺言書ができたら、ノートにその有無と保管場所を書いておくことで、家族が遺言書を見落とさずにすみます。
| 順番 | すること | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | エンディングノートで財産と家族を整理する | 財産一覧と連絡先、家系図で、何があり誰が相続人になりそうかを見える形にする |
| 2 | 遺言書を作る | 財産の分け方を民法の方式で書く。公正証書にするか、自筆証書を法務局に預けるかを決める |
| 3 | ノートに遺言書のありかを書く | 遺言書の有無と種類、保管場所、法務局の保管証の置き場所を書く |
| 4 | 見直す | 財産や家族が変わったら、ノートを直し、必要なら遺言書も作り直す |
よくある質問
- ノートに「家は長男に」と書いたら、その通りになりますか?
- ノートの記載には遺言の効力がないので、その通りになるとは限りません。相続人全員がノートの希望に沿って遺産分割協議をまとめれば、結果として希望どおりになることはありますが、確実にしたい場合は遺言書を作ります。
- 遺言書があればエンディングノートはいりませんか?
- 遺言書は財産の分け方を決める書類で、連絡してほしい人、止めてほしい契約、スマートフォンの扱い、医療や葬儀の希望のような暮らしの情報は書く場所がありません。遺言書とノートは扱う内容が違うので、両方あると家族の負担が軽くなります。
- パソコンで作った遺言書は有効ですか?
- 自筆証書遺言は、本文を遺言者が自分で書く必要があり、パソコンで作った本文は認められません。パソコンで作れるのは、遺言書に添える財産目録だけです。なお、2026年6月に成立した改正で方式の見直しが予定されているので、作るときは法務省の案内で施行の状況を確かめます。
出典
最終確認日 2026年10月18日。このページは一般的な情報で、遺言や相続、後見の個別の判断は、司法書士・弁護士・公証役場・法務局・家庭裁判所の相談窓口で確かめてください。