不妊治療の医療費控除
医師による不妊症の治療費や人工授精の費用は、医療費控除の対象です。自治体から不妊治療費の助成金を受け取ったときは、その額を医療費から差し引きます。
この内容は2026年10月28日時点のものです。
最終確認日 2026年10月28日
国税庁の質疑応答事例「不妊症の治療費・人工授精の費用」は、医師による診療等の対価として支払われる不妊症の治療費と人工授精の費用は、医療費控除の対象になるとしています。自治体から不妊治療費の助成金を受け取ったときは、その額を医療費から差し引きます(質疑応答事例)。
| 費用 | 医療費控除 | 根拠 |
|---|---|---|
| 医師による不妊症の治療費 | 対象 | 国税庁 質疑応答事例 |
| 人工授精の費用 | 対象 | 国税庁 質疑応答事例 |
| 通院のための電車・バス代 | 対象 | 国税庁 No.1122 |
| 治療のために処方された薬の代金 | 対象 | 国税庁 No.1122 |
| 自治体の不妊治療費助成金 | 医療費から差し引く | 国税庁 質疑応答事例 |
| 高額療養費(保険診療の自己負担が上限を超えた分) | 医療費から差し引く | 所得税基本通達 |
保険適用の治療と自費の治療
不妊治療は、人工授精などの一般不妊治療と体外受精・顕微授精などの生殖補助医療が、令和4年4月から健康保険の対象になりました。患者の状態に応じて追加で行う治療のうち先進医療に位置づけられたものは、保険診療と併用できます(厚生労働省)。
国税庁の事例は保険適用の前から示されているもので、保険診療か自費かを分けた説明はありません。医療費控除の考え方では、保険診療の窓口負担も、併用した先進医療や保険のきかない治療の費用も、医師による診療・治療の対価であれば同じように対象に含まれます。保険診療で1か月の自己負担が上限を超え、高額療養費が支給されたときは、その分を差し引きます。
助成金の差し引き
国税庁の質疑応答事例「地方公共団体が支給する少子化対策のための助成金等の所得税法上の取扱い」は、不妊治療費助成金と医療費助成金は所得税法第73条第1項の「保険金、損害賠償金その他これらに類するもの」に当たり、医療費控除の対象になる医療費から差し引くとしています。助成金そのものは非課税所得として扱われます。
助成金は、その助成の対象になった治療の医療費から差し引きます。助成金が出る前に申告するときは、見込額で計算し、あとで確定額が違ったら訂正します。
明細書の書き方
治療費は明細書の医療費の区分を「診療・治療」にし、支払先ごとに書きます。助成金や高額療養費は、その対象になった治療の行の補填される金額の欄に入れ、ほかの行には書きません。
治療が長く続く場合も、医療費控除はその年に実際に払った額ごとに計算するので、治療の段階ごとではなく支払った年ごとに領収書をまとめておくと整理しやすくなります。治療に通うための電車やバスの運賃も対象で、領収書が出ない交通費は、日付と区間、金額を手帳などに控えておけば計上できます。
治療の費用が大きい年は、助成金を差し引いた後の額で計算します。たとえば給与の年収500万円で、その年に払った医療費が60万円、補填される金額が30万円なら、控除額は200,000円、戻る額の目安は所得税と住民税を合わせて30,210円です(医療費控除の計算ツールと同じ計算、単身・給与のみ・東京都・40歳未満の社会保険料)。
よくある質問
- 夫婦の治療費は、どちらの申告に入れますか?
- 生計を一にする夫婦なら、実際に払った人がまとめて自分の申告に入れられます。夫婦それぞれが払った分は、払った人ごとの申告になります。
- 年をまたいで治療を続けたときは?
- 医療費控除は、その年の1月1日から12月31日までに実際に払った額で計算します。前の年に始めた治療でも、今年払った分は今年の医療費です。
出典と前提
最終確認日 2026年10月28日。このページは、国税庁の説明と法令にもとづく一般的な説明で、個別の事情を判断するものではありません。自分の支出が対象になるかどうかは、住所地の税務署(電話相談センター)で確かめられます。